2003 Fiscal Year Annual Research Report
肥満2型糖尿病モデルdb/dbマウスにおける膵β細胞機能障害の機構の解明
Project/Area Number |
15590962
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
加来 浩平 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10116709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重藤 誠 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60368628)
松田 昌文 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00199811)
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Keywords | 膵β細胞機能 / db / dbマウス / diazoxide / pioglitazone / %膵ラ氏島面積 / β細胞比率 / アディポネクチン / 膵ラ島内中性脂肪含量 |
Research Abstract |
本研究は薬剤介入による膵β細胞機能保護機構を膵ラ氏島レベルで詳細に検討することによって肥満糖尿病モデル動物C57BL/KsJdb+/db+マウス(以下db/dbマウス)の膵β細胞機能障害機序を解明することにある。そのため(1)6週齢db/dbマウスにKATPチャネル開口薬diazoxide(D群)とthiazolidinedione系薬剤pioglitazone(P群)による12週間の介入を行い,膵β細胞機能障害の抑制効果についての形態学的検討、(2)10週齢マウスに2週間介入し、分子生化学的解析を行なった。膵ラ島の組織学的解析では、%膵ラ氏島面積、β細胞比率とも非介入群のそれと比較し、両群で有意に増大した(P<0.001)。2週間介入で血糖,中性脂肪,遊離脂肪酸は低下し,血中インスリン値はD群で増加、P群では低下していた。血中アディポネクチン値はP群でより顕著に増加し,両者併用ではさらに著明な増加をみた(P<0.001)。インスリン感受性はP群で有意に改善した(P<0.01)が、D群では改善効果をみなかった。膵ラ島内中性脂肪含量はP群で減少した(P<0.05)が,D群では変化なし。膵ラ島グルコース応答性インスリン分泌反応は、両群とも改善した(P<0.05vs非介入)。db/dbマウス膵β細胞機能障害は薬剤介入で抑制可能であり,その機序としてDは膵β細胞に直接作用し,膵β細胞オーバーワークの抑制により、機能保護に働く一方、Pはインスリン感受性増強による糖毒性の改善に加えて,膵β細胞における脂肪毒性の抑制も関与すると思われた(以上の成果の一部はAm.J.Physiol.及びEur.J.Pharmacol.に投稿中)。今後、さらに膵ラ氏島内遺伝子発現への影響も含めて、詳細な解析をすすめる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Matsuda M, Kaku K, et al.: "Cross-sectional analyses of plasma adipocytokines in Japanese type 2 diabetic subjects : relations with fat localization and diabetic angiopaties"Diabetic Med. (in press). (2004)
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[Publications] Kaku K, Kanda Y, et al.: "Retained capacity of glucose-mediated insulin secretion in patients with type 2 diabetes mellitus inversely correlates with the duration of diabetes"Diab Res Clin Pract. (in press). (2004)
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[Publications] 川崎史子(指導:加来浩平): "薬剤介入による肥満糖尿病マウス膵β細胞機能障害の抑制効果-DiazoxideとPioglitazoneの作用および作用機序の比較検討-"川崎医会誌. 29. 115-130 (2003)