2003 Fiscal Year Annual Research Report
好中球が組織から上皮を経て管腔内へtransmigrateする機序の解明
Project/Area Number |
15591003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹田 昌孝 京都大学, 医学部, 教授 (30144364)
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Keywords | NO / 血管内皮 / トランスミグレーション / 遊走 / 好中球 |
Research Abstract |
好中球は感染防御の中心的役割を担っており、組織に病原微生物が侵入するとそれを感知し、病巣局所へと集積する。この時、血流中にある好中球は血管内皮を通過し組織へと移動する。血管内皮を通過するためには、好中球に発現するCD15、CD15sと血管内皮に発現するセレクチンの反応により、それぞれに発現するβ2インテグリンとICAM-1の発現並びに機能的変化がもたらされ、トランスミグレーションが進行する。この一連の過程を制御する機構はまだ充分に明らかでなく、そこでNOに注目してNOによる制御機構を明らかにすることとした。血管内皮としてHUVECを用いてin vitroにおける研究を進めた。 これまでの研究の結果、NOがHUVECから産生されること、好中球がHUVECを通過する実験系でNOの添加はトランスミグレーションを抑制しNO消去剤は増強することなどを明らかにした。またNOは好中球に作用してトランスミグレーションを抑制することを明らかにしてきた。そこでNOが作用した好中球に認められる変化を明らかにすることとし、作用点としてはguanylate cyclase(GC)に注目した。GCを活性化する物質、YC-1を好中球に作用させると、好中球のトランスミグレーションは抑制された。一方GCの抑制剤ODQは、好中球のトランスミグレーションを促進した。 以上よりHUVECから産生されるNOが好中球に作用し好中球のGCを活性化することにより、トランスミグレーションを抑制すると考えられた。NOは通常好中球のトランスミグレーションに対して抑制的に作用し、炎症時にはその抑制を解除することにより、またその他の促進機序が稼働することにより、好中球がすみやかに炎症局所に集積するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 笹田昌孝: "血液疾患合併感染症総論"血液フロンティア. 13(1). 9-17 (2003)
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[Publications] 笹田昌孝: "好中球と病態形成-好中球の二面性-"臨床血液. 44(6). 351-357 (2003)
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[Publications] Nishioka M, Sasada M, et al.: "Effects of 6-formylpterin as an internal source of hydrogen peroxide on cell death of human peripheral blood leukocytes"Life Science. 73(2). 221-231 (2003)