2003 Fiscal Year Annual Research Report
受容体を介するリポソームのエンドサイト-シスを利用した樹状細胞への癌遺伝子導入
Project/Area Number |
15591004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
門脇 則光 京都大学, 医学研究科, 助手 (60324620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
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Keywords | 樹状細胞 / 免疫療法 / 非ウイルスベクター / 遺伝子導入 / リポソーム |
Research Abstract |
ヒト樹状細胞(dendritic cells ; DC)に抗原遺伝子を導入するための非ウイルスベクターを開発することを目的として、eGFPをコードするプラスミドを用いて以下のベクターがヒト単球由来DCにeGFPの発現を誘導するかどうかを検討した。 1.IgGを結合したカチオニックリポソーム---Fcγレセプター(FcγR)を介してDCに取り込まれれた抗原がエンドソームから細胞質へ移行する性質を利用して遺伝子導入を試みたが、DCにおけるeGFPの発現はみられなかった。 2.HVJ envelopeベクター---細胞膜融合性のあるセンダイウイルスの膜エンベロープを利用したベクターを用いたが、DCにおけるeGFPの発現はみられなかった。 3.amaxa社のHuman Dendritic Cell Nucleofector Kit---50%以上のDCにeGFPの発現がみられたが、48時間後にはほとんどのDCが死滅しており、実用性がなかった。 4.トランスフェリン結合SucPGリポソーム---トランスフェリンレセプターを介して細胞に取り込まれた後SucPGによってプラスミドが細胞質に移行する系で、HeLa細胞ではeGFPの発現がみられたが、DCではみられなかった。 5.トランスフェリン/PLL/JTS-1---カチオニックポリマーであるポリLリジン(PLL)と膜融合ペプチドであるJTS-1を利用したベクターで、293T細胞ではeGFPの発現がみられたが、DCにおける発現はみられなかった。 以上のように種々のベクターを試みたが、非ウイルスベクターを用いたヒト単球由来DCへの遺伝子導入は、現時点では困難と考えられる。今後は、レンチウイルスベクターを試みるか、または遺伝子ではなく蛋白をDCに貪食させて効率よく抗原提示させるデリバリーシステムを、リポシームを用いて開発することを目指す。
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