2004 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞における薬剤耐性機構の包括的解明と分子標的薬による耐性解除
Project/Area Number |
15591020
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
永井 正 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40237483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶺 謙 自治医科大学, 医学部, 助手 (90316521)
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Keywords | farnesyltransferase inhibitor / 慢性骨髄性白血病 / R115777 / imatinib / 薬剤耐性 / K562 / RR / β-globin / heme |
Research Abstract |
1.近年、造血器腫瘍に対する分子標的療法の開発が積極的に進められている。Farnesyltransferase阻害薬(FTI)は、治療抵抗性の慢性骨髄性白血病(CML)や急性骨髄性白血病などへの臨床応用が期待されている。本研究では、BCR/ABLキナーゼ阻害薬imatinibとFarnesyltransferase阻害薬R115777との併用により、imatinib耐性細胞株の増殖が相乗的に抑制されることを明らかにした。その一方で、FTIそのものに対する耐性出現の報告がなされている。そこで、次にFTIに対する耐性獲得機序を明らかにする目的で、ヒトCML急性転化由来細胞株K562を親株としてR115777に対する耐性細胞株K562/RRを新たにクローン化した。K562/RRにR115777を添加すると、K562と同程度にHDJ-2蛋白のfarnesylationが阻害された。従って、K562/RRにおけるR115777耐性は、標的分子であるfarnesyltransferaseに非依存性の機序によるものと推察された。K562では、R115777添加によりアポトーシス関連分子の発現量が変化しAnnexin_陽性細胞数の増加を認めたが、同量のR115777をK562/RRに添加してもこれらの変化を認めなかった。次に、DNAマイクロアレイ法によりK562とK562/RRにおける遺伝子発現プロフィールの差異について検討した。その結果、K562/RRでは細胞周期関連分子の他にβ-globinの発現増強が認められた。さらに、それぞれの細胞株におけるR115777添加前後での遺伝子発現をDNAマイクロアレイで検討したところ、β-globinの発現量がk562ではR115777添加により増加するのに対し、K562/RRでは低下することが明らかとなった。この結果は、Farnesyltransferase阻害薬による赤血球分化誘導作用と、耐性細胞における分化能喪失を示唆している。 2.Imatinibに対する耐性機序の解析も進めた。CML由来細胞株KCL22にheminを添加すると、imatinibに対するIC_<50>値が増加した。Hemin存在下では、imatinib添加後でもリン酸化Bcl2、BclXL、cleaved caspase 3、7,9、PARP等の量的変化が抑制されたことから、hemeはimatinibによるアポトーシスの誘導を阻害するものと考えられた。Idarubicinやdaunorubicinに対するIC_<50>値もheminにより増加したことから、hemeはimatinibを始めとする複数の抗腫瘍薬に対する感受性の決定に重要である可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)