2003 Fiscal Year Annual Research Report
リボゾーム蛋白S19欠損赤芽球癆に対するより安全な遺伝子治療のためのベクター開発
Project/Area Number |
15591025
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浜口 功 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90348780)
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Keywords | 先天性赤芽球癆 / Diamond-Blackfan anemia / RPS19 / 造血幹細胞 / レンチウイルスベクター / ハイブリッドベクター |
Research Abstract |
リボゾーム蛋白S19 (RPS19)遺伝子に変異が認められる先天性赤芽球癆患者では、より未分化な造血幹細胞におけるRPS19遺伝子発現が健常人における発現量にくらべ劣っていることを定量的PCR法により明らかにした。RPS19欠損先天性赤芽球癆患者に対する遺伝子治療を行うために、造血幹細胞においてRPS19を長期にしかも高発現が期待できるベクターの開発を行い、レンチウイルスのLTR (long term repeat)のU3領域をレトロウイルスMSCVのU3領域に置き換えたハイブリッドベクターを構築した。このウイルスベクターを用いて健常人骨髄CD34陽性細胞およびRPS19欠損患者骨髄CD34陽性細胞にそれぞれRPS19の遺伝子導入をはかったところ、感染をうけた全細胞の30%で遺伝子導入が認められた。さらに遺伝子導入がはかられた細胞におけるRPS19遺伝子の発現量を定量的PCR法で解析したところ、患者骨髄CD34陽性細胞において5倍に増加していた。また遺伝子導入された患者CD34陽性細胞を半固形培地で培養し、形成される赤芽球コロニー数を解析したところ、RPS19に変異の認められる4例すべての患者細胞で平均3倍に増加し、健常人CD34陽性細胞の形成する赤芽球コロニー数のほぼ50%にまで達した。ところがRPS19に異常のない先天性赤芽球癆患者においてはRPS19の強制発現による赤芽球コロニー数の増加は認められなかった。赤芽球からさらに成熟した赤血球系細胞への分化、増殖能の解析のために高濃度エリスロポエチンを添加して液体培養したところ、RPS19に変異の認められる患者細胞にRPS19を強制発現した細胞では健常人細胞のほぼ50%のレベルまで増殖できることを確認した。 これらのことから、ハイブリッドベクターをもちいたRPS19の強制発現が本疾患の赤血球産生能回復に有効であることを示した。
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Research Products
(1 results)