2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591033
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Research Institution | SAITAMA CANCER CENTER |
Principal Investigator |
角 純子 (岡部 純子) 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 専門研究員 (30161136)
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Keywords | 癌 / 蛋白質 / 生理活性 / 発現制御 / NM23 / サイトカイン |
Research Abstract |
腫瘍細胞におけるNM23遺伝子の過剰発現や、細胞外に分泌されたNM23蛋白質に着目して、血清を用いた予後診断法を開発した。この血清NM23蛋白質による予後診断法は白血病、悪性リンパ腫および神経芽腫に応用できることを報告してきた。血清NM23蛋白質が予後不良因子となる生物学的基盤を解明するために、細胞外環境におけるNM23蛋白質の生物学的機能を検討した。 NM23(組み替え体)存在下で、急性骨髄性白血病細胞を初代培養し、MTT assayにて生存細胞数を測定した。NM23蛋白質により白血病細胞の増殖・生存が促進された。Human Expression CHIP、RT-PCR、Human Cytokine Antibody ArrayおよびELISAを用いて、NM23で誘導される遺伝子/蛋白質の発現解析を行った。増殖促進が観察された症例では、種々のサイトカイン(GM-CSF,IL-1β,IL-6,TNFα,IL-8,MCP-1,Gro等)が誘導された。GM-CSF,IL-1βには直接白血病細胞を促進する活性があった。また、NM23の増殖・生存促進作用は、各種サイトカイン抗体処理で一部中和されたので、サイトカインの産生誘導を介していると考えられた。この増殖促進作用のシグナル伝達機構を解析したところ、MAPK(p38,Erk1/2,JNK)およびSTAT(1,3,5)系のシグナル伝達が活性化されていた。白血病細胞は血中に分泌したNM23分子をメディエーターとして、オートクラインに、また単球を介してパラクライン(昨年度報告)に自身の増殖を促進した。これは細胞外環境におけるNM23蛋白質の新しい機能であり、血清NM23蛋白質が予後不良因子となる生物学的機能基盤の1つと考えられる。さらに、治療の新しい標的としても今後の展開が期待できる。
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