2004 Fiscal Year Annual Research Report
未分化大細胞型リンパ腫におけるALK遺伝子の転座亜型に関する研究
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15591036
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Research Institution | Aichi Cancer Center |
Principal Investigator |
鈴木 律朗 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子医療研究部, 主任研究員 (20280810)
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Keywords | 未分化大細胞型リンパ腫 / ALK遺伝子 / 転座 / NPM遺伝子 / 免疫染色 / 細胞質 / ATIC遺伝子 / TPM3遺伝子 |
Research Abstract |
未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma, ALCL)は独特な組織形態と、t(2;5)の染色体異常を特徴とする非ホジキンリンパ腫の一亜型である。t(2;5)の結果、2p23に存在するALK(anaplastic lymphoma kinase)遺伝子と5q35に存在するNPM(nucleophosmin)遺伝子が相互転座してキメラタンパクを生ずる。NPM-ALK転座例はALKに対する免疫染色が陽性となるが、ALCL全体の約70%を占める。残りの30%のALKが別の遺伝子と転座していると考えられるが、後者では細胞質のみが陽性となる。こういった亜型のX-ALK転座に関しては散発的な報告のみで体系的な解析はなされておらず、その詳細は明らかでない。本研究は、このALK転座亜型の解析を目的とした。昨年度、ALKの膜貫通部位に対するRT-PCRでALKの発現を認めたAST-1,DL-40,DL-110の3株は、いずれもMPM-ALKおよび既存のALKとの転座相手のキメラは陰性であったことを報告した。これらを対象に本年度は、ALKの免疫染色、Western blottingを行なったがいずれも陰性であった。Northern blottingでは、極めて低用量のALKの発現を認めた。正常のfull lengthのALKは造血器細胞での発現はないとされてきたが、転座がなくても極めて低用量の発現がある細胞株が存在することが明らかとなった。3株のうちDL-40,DL-110の2株はALCL由来であり、ALCLの造腫瘍性を考える上では極めて興味深い。次に、臨床検体でALK亜型転座の解析を行った。ALK陽性例でNPM以外の転座相手を同定できたものは6例あり、ATIC3例、TPM32例、TFG1例であった。1例に関しては転座相手を同定できなかった。前記のうち2例はALK核陽性例であった。これまで、核陽性例の転座相手はNPMに限られるとされてきたが、必ずしもそうではないことが明らかとなった。亜型転座の相手に関しても、欧米ではTPM3が多いとされてきたが、本邦ではATICが多いとの違いが明らかとなった。
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Research Products
(20 results)