2003 Fiscal Year Annual Research Report
転移巣に有効な腫瘍特異的DNAワクチン開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
15591042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 公仁夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20192601)
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Keywords | 腫瘍免疫 / CpG DNA / 転移 |
Research Abstract |
CpG DNAによる抗原提示細胞とTh1細胞、CTLの活性化がカギである。腫瘍免疫での大きな障害は、腫瘍が樹状細胞を活性化できないことである。たとえ樹状細胞が腫瘍抗原を提示しても、強い免疫反応を誘導できないのみならず、腫瘍に対する免疫寛容誘導の恐れもある。そこで、腫瘍抗原を提示する樹状細胞活性化にCpG DNAを用いて、抗腫瘍免疫活性を賦活化する。 本研究では、CpG DNAの皮膚投与による、遠隔転移縮小効果を調べた。マウスの皮膚に、腫瘍(悪性黒色腫)を移植する。処置しない場合には、腫瘍が増大する。生着後に腫瘍近傍にCpG DNAを皮下注すると、腫瘍が消退した。このときに肺などに遠隔転移があれば、転移も同時に縮小した。ただし、CpG DNAの投与を、腫瘍と別の部位にした場合には、腫瘍の縮小は認められなかった。 この機序としては、次の推論が成立する。腫瘍病変近傍の未熟樹状細胞(皮膚ではランゲルハンス細胞)は、腫瘍を取り込んだ後に腫瘍抗原を提示する。しかし、成熟化と活性の刺激を受けることができないために、腫瘍抗原特異的T細胞免疫を活性化できない。そこにCpG DNAが共存すると、樹状細胞による睡瘍抗原提示が可能になり、Th1細胞やCTLが高率に誘導される。これらのT細胞が、肺などの遠隔他臓器にある腫瘍を攻撃する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sano K.et al.: "Oligodeoxynucleotides without CpG motifs work as adjuvant for the induction of Th2 differentiation in a sequence-independent manner"Journal of Immunology. 170. 2367-2373 (2003)
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[Publications] Sano k., Shirota H: "CpG oligodeoxynucleotides as a future vaccine for allergic diseases"Allergology International. (in press). (2004)
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[Publications] 佐野公仁夫: "CpGモチーフによるアレルギー疾患治療法"医学のあゆみ. 207. 949-954 (2003)
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[Publications] 佐野公仁夫: "アレルギー疾患に対するDNAワクチン療法"アレルギー科. 16. 102-106 (2003)
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[Publications] 佐野公仁夫: "アジュバントを利用した樹状細胞の活性化とアレルギーの治療"現代医療. 35. 119-125 (2003)
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[Publications] 佐野公仁夫: "CpGによる樹状細胞のTh1細胞誘導機序"臨床免疫. 39. 268-272 (2003)