2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者結核の発症病態の解明と発症予防法の開発に関する研究
Project/Area Number |
15591061
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
斎藤 厚 琉球大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90039842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 和義 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10253973)
比嘉 太 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50291555)
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Keywords | 結核 / 高齢者 / 糖尿病 / IFN-γ / IL-12 / 老化促進マウス / 糖尿病マウス / Th1反応 |
Research Abstract |
結核は強力な化学療法によって一時は克服されたかにみえた。しかし近年は、高齢者人口の増加に伴い、それまで順調に減少を続けていた罹患者数が増加に転じ大きな問題となっている。本研究では、高齢者における結核の発症要因について、宿主側から解析を行った。 高齢者肺結核群(78±10歳)では、若年肺結核症例群(47±18歳)に比べ、血清IL-12値が低い傾向にあり、IFN-γ値は有意に低かった。これらの結果から、結核感染防御において重要なTh1免疫応答能の低下が発症機序の一つになっている可能性が推察された。一方、老化促進マウス(SAM)を用いて肺結核症モデルを作製したところ、感染5〜6ヶ月頃からSAMマウスにおいて早期に死亡する傾向が認められ、10ヶ月後の肺、肝、脾臓内生菌数はSAMマウスで有意に増加していた。しかしながら、感染3ヶ月後における肺、肝、脾臓ホモジネート中のIFN-γ濃度は両群間で有意な差を認めなかった。 加齢に伴い糖尿病が増加することが知られており、結核の重要な危険因子の一つである。そこで、糖尿病合併肺結核症例(65±12歳)、非合併肺結核症例(65±14歳)、そして健常者(58±16歳)を対象に血清中のIL-12、IFN-γ濃度を測定した。糖尿病非合併肺結核症例では健常者と比較してIL-12、IFN-γ濃度の増加が認められるが、糖尿病合併肺結核症例では非合併症例に比べてこれらサイトカインが低下していた。また、ストレプトゾトシンを用いて膵β細胞を破壊することにより作製したマウス糖尿病モデルに結核菌を感染させ、糖尿病状態下における結核感染免疫応答能について解析を行ったところ、同様に結核菌に対するTh1免疫応答の低下とともに感染の悪化が観察された。 本研究を通して、高齢者では種々の原因によってTh1免疫応答が低下することが発症の原因となっていることが考えられた。
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Research Products
(4 results)