2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗NMDAR2抗体とSLEに伴う中枢神経障害発症機序との関連性に関する研究
Project/Area Number |
15591063
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
吉尾 卓 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20221666)
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Keywords | 抗NMDAR2抗体 / N-methyl-D-asparateレセプター / SLE / NPSLE |
Research Abstract |
SLE65例の髄液・血清中の抗NMDAR2抗体価を測定し、SLEに伴う中枢神経障害(NPSLE)と抗NMDAR2抗体との関連性を検討した。SLE65例はアメリカリウマチ学会が提唱しているNPSLEの19の症候に基づいてNPSLE46例(精神症状群16例、局所症状群25例、複合型[精神症状と局所症状の両方がほぼ同時期に出現した場合5例])、非NPSLE19例に分類した。[結果]血清抗NMDAR2抗体価はNPSLE群18.5±21.3U/ml、非NPSLE群10.4±9.62U/mlで、有意差を認めなかった。髄液抗NMDAR2抗体価はNPSLE群16.0±26.2U/ml、非NPSLE群2.57±2.44U/mlで、有意差を認めた(P=0.0013)。髄液抗NMDAR2抗体価に関して各症状群で比較検討したところ精神症状群9.04±14.1CSFU/ml、局所症状群14.0±19.3CSFU/ml、複合型42.5±53.6CSFU/mlであり、局所症状群と複合型が非NPSLE群に比べて有意に高値を示した(P=0.0024、P=0.0075)。精神症状群では非NPSLE群に比べて有意差を認めなかった。NPSLE症例における経過を追った髄液抗NMDAR2抗体価の検討では、NPSLE出現時に高値を示し、軽快にて低下した。血清抗NMDAR2抗体に関しては特に大きな動きを示さなかった。髄液中の抗NMDAR2抗体がNPSLE、特に精神症状以外の局所症状を呈したNPSLEの発症・進展に関与している可能性が示唆された。
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