2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制遺伝子導入による関節リウマチ遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
15591067
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
永島 正一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (20256952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 隆 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20125074)
加藤 興 帝京大学, 助手 (10267148)
高橋 央 日本医科大学, 医学部, 助手 (00277534)
三宅 弘一 日本医科大学, 医学部, 講師 (90267211)
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Keywords | 関節リウマチ / 血管新生抑制因子 / angiostatin / コラーゲン関節炎マウス / ウイルスベクター / adeno-associated virus |
Research Abstract |
関節リウマチ滑膜病変は炎症性細胞の浸潤、血管新生を特徴とする。なかでも血管新生は炎症の遷延化はもとより、骨・軟骨破壊にも重要な役割を果たしている。そこで血管新生抑制因子を遺伝子導入することによるあらたな治療の可能性について検討した。これまで我々は、血管新生抑制因子angiostatinのDNAを合成、レンチウイルスベクターを使用し、angiostatin遺伝子をコラーゲン関節炎マウスの膝関節局所に導入、滑膜増殖の抑制、軟骨・骨破壊の抑制に成功した。そこでヒトに対する病原性がなく、安全性の高いウイルスベクターであるadeno-associated virus(AAV)に注目、同様にangiostatinをこれらベクターに遺伝子導入し、滑膜増殖抑制、軟骨・骨破壊の抑制効果について検討した。コントロール遺伝子として、EGFP(enhanced green fluorescent protein)をAAVベクターに導入、関節炎マウスの膝関節局所にそれぞれangiostatin、EGFP、PBSを関節内注射し、投与後4週目、8週目の滑膜を免疫組織学的、Western blot、X線学的に評価した。Angiostatin遺伝子を導入した膝関節では,PBSやEGFP遺伝子を導入した膝関節に比較してPCNA、CD34抗体を用いた免疫組織学的検討においても細胞増殖が抑制、さらにX線を用いた骨破壊の評価においても有意に抑制されていることが確認された。またangiostatin遺伝子は、主として軟骨細胞、滑膜細胞で発現されていた。このように、AAVベクターを用いたangiostatin遺伝子導入は滑膜増殖を抑制、さらに軟骨・骨破壊をも抑制することが可能である。今後は発現の持続性、他臓器へのこれらウイルスベクターの分布をRT-PCRにて検討することにより安全性についても配慮する必要があろう。
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