2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制遺伝子導入による関節リウマチ遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
15591067
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
永島 正一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (20256952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 央 日本医科大学, 医学部, 助手 (00277534)
島田 隆 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20125074)
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Keywords | 間接リウマチ / コラーゲン関節炎 / 遺伝子治療 / 血管新生抑制因子 / angiostatin / adeno-associated virus / human immunodeficiency virus |
Research Abstract |
関節リウマチ滑膜増殖は、炎症性細胞の浸潤および血管新生を特徴とする。なかでも血管新生は炎症を遷延化、滑膜増殖、また骨・軟骨破壊にも重要な役割を果たしている。そこで血管新生抑制因子を導入することによる滑膜増殖の制御について検討した。我々はすでにHIV(human immunodeficiency virus)ベクターを用い、血管新生抑制因子angiostatin遺伝子を導入することにより滑膜増殖が抑制されることを確認した。さらに病原性がなく、遺伝子の長期発現が可能であり、遺伝子治療に臨床応用可能なAAV(adeno-associated virus)ベクターを用い治療効果を検討した。マウスangiostatinにHA(human influenza hemagglutinin)tagを含むキメラ型cDNAであるmAngiostatin-HA(mAngHA)をクローニング、マーカーであるeGFP(enhanced green fluorescent protein)遺伝子を組み入れた、AAV-Ang/GFPを作製した。また、コントロールベクターとして、eGFPとNeoR(neomycin phosphotransferase)遺伝子を組み入れたAAV-GFP/NeoRを作製した。これらベクターはそれぞれ右膝関節内に、一方、左膝関節にはPBSを投与した。遺伝子の発現は両膝関節、心、腎、肝、肺よりtRNAを抽出、RT-PCRにより検討、タンパク発現は免疫組織学的に評価した。その結果mRNAはAAV-Ang/GFPを投与した右膝関節でのみ発現を確認、また軟骨細胞、滑膜細胞にタンパクの発現を認めた。AAV-Ang/GFPを投与した右膝関節を、PBSあるいはAAV-GFP/NeoRを投与した膝関節と比較したところ、滑膜増殖や骨・軟骨破壊といった関節炎所見は8週にわたり有意に抑制された。免疫組織学的染色による滑膜新生血管の評価でも、AAV-Ang/GFPを投与した右膝関節は、コントロールと比較して有意に血管新生が抑制された。このように、AAVベクターによるangiostatin遺伝子のマウス関節内投与は、他臓器への遺伝子の発現を認めないこと、また滑膜増殖や骨・軟骨破壊の長期抑制など安全性、持続性において優れており、関節リウマチの遺伝子治療としても大いに期待できる。
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Research Products
(3 results)