2003 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチに伴う骨粗鬆症治療戦略確立のための探索的研究
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15591074
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡田 洋右 産業医科大学, 医学部, 講師 (80333243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
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Keywords | β_1インテグリン / 関節リウマチ / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨吸収 / 骨粗鬆症 / RANKL / ICAM-1 |
Research Abstract |
【目的】関節リウマチ(RA)では、滑膜の骨への進展による傍関節性骨粗鬆症化を認める。RA滑膜細胞は、周囲を常時細胞外マトリックスで囲まれるが、その主要なレセプターであるβ_1インテグリンを介してどのような細胞刺激シグナルが伝達されるかは不詳である。破骨細胞は、破骨細胞上のインテグリンβ_1とβ_3を介して骨基質構成糖蛋白質と接着して骨吸収機能を発揮し、β_2と骨芽細胞上のICAM-1との接着を介して骨芽細胞上のRANKLの刺激を受容し、成熟誘導される事を報告した。一方、骨芽細胞はβ_1インテグリンを介して骨基質蛋白質と接着するが、今回、β_1を介する接着が齎す細胞機能特性について検討した。【方法および結果】(1)Russelの方法で抽出したヒト骨芽細胞と骨芽細胞株MG63は、無刺激下でβ_1を高発現し、α_2、α_3、α_4、α_5、α_6も発現することをフローサイトメーターで確認した。(2)骨芽細胞上のβ_1を特異抗体と二次抗体で架橋形成刺激すると、RANKLとICAM-1の発現が3時間をピークに著明に誘導された。さらに、同様の刺激により細胞内オステオカルシン、I型コラーゲンの発現も誘導された。(3)リガンド基質(ファイブロネクチン、コラーゲン)との接着を介するβ_1刺激でも、同様に骨芽細胞上のRANKLとICAM-1、細胞内オステオカルシン、I型コラーゲンの発現が誘導された。(4)骨芽細胞上のβ_1刺激により、骨芽細胞は有意な増殖活性を呈した。(5)β_1刺激による上記細胞表面機能分子と骨基質蛋白質の発現誘導は、チロシンリン酸化阻害薬の添加により濃度依存性に減弱した。【考案】骨芽細胞は骨形成および骨吸収の双方に関与するが、今回の検討により骨芽細胞に発現するβ_1インテグリンは、骨基質との接着で誘導されるチロシンリン酸化等の細胞内シグナルを介する骨形成細胞への分化と同時に、RANKLとICAM-1の発現を介した骨吸収刺激作用の獲得が誘導される事が明らかとなった。即ち、骨芽細胞上のβ_1刺激は、破骨細胞および骨芽細胞機能を誘導することにより、高回転型の骨代謝を齎す可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Tanaka, Y.Okada, T.Nakamura: "Inter- and infra-cellular signaling in secondary osteoporosis."J Bone Miner Metab. 21. 61-66 (2003)
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[Publications] Y.Okada, A.Montero, X.Zhang, et al.: "Impaired osteoclast formation in bone marrow cultures of Fgf2 null mice in response to parathyroid hormone."J Biol Chem. 278. 21258-21266 (2003)
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[Publications] S.Nakayamada, Y.Okada, K.Saito, M.Tamura, Y.Tanaka: "β1 integrin/focal adhesion kinase-mediated signaling induces intercellular adhesion molecule 1 and receptor activator of nuclear factor kappa B ligand on osteoblasts and osteoclast maturation."J Biol Chem. 278. 45368-45374 (2003)
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[Publications] Y.Okada, C.Pilbeam, L.Raisz, Y.Tanaka: "Role of cyclooxygenase-2 in bone resorption."J UOEH. 25. 185-195 (2003)
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[Publications] 岡田洋右, 田中良哉: "抗炎症治療の滑膜病変に対する効果"腎と骨代謝. 16. 51-57 (2003)
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[Publications] 田中良哉, 岡田洋右: "ステロイド性骨粗鬆症の予防の方策について"CLINICAL CALCIUM. 6. 56-60 (2003)