2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591076
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
有賀 正 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60322806)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 淳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50255436)
|
Keywords | Wiskott-Aldrich症候群 / WASP分子 / 分子内構造変化 / Flow cytometry |
Research Abstract |
正常者の末梢血単核球細胞質内のWASP分子をFlow cytometry(FCM)にて検索し、強陽性群と弱陽性群を検出した。まず、WASP強/弱陽性群と単核球各分画との関連を検討し、それぞれの分画がWASP強/弱陽性どちらの集団に属するかを同定した。リンパ球はWASP強/弱陽性両群に属し、単球は弱陽性群に属していた。また、リンパ球の亜分画では、T細胞ではCD4陽性、CD8陽性細胞が共に両群に属していたが、B細胞は弱陽性群に、NK細胞は強陽性群に属していた。さらにT細胞をCD45RAとROに分けて検討した結果、CD4,CD8ともにCD45ROは強陽性、45RAは弱陽性に属していた。以上の結果は、これまでにWAS患者/保因者の診断、血液幹細胞移植後のWAS患者の解析に用いた抗WASP抗体3F3A5(米国NIH/Dr.Nelsonより供与)を用いた結果であるが、認識する部位の異なる市販の抗WASP抗体を用いた結果ではこの様なWASP強/弱陽性の二群は検出されなかった。正常者リンパ球からマグネットビーズを用いてT細胞を分離し、さらにCD45ROとRA細胞に分け細胞数をそろえてWASP分子の量的評価をRT-PCRおよびウエスタン法にて検討した。その結果、両者間には有意な差は無く、FCMで認めたWASPの二峰性が抗原量の差ではない可能性が示唆された。 近年、WASP分子が分子内構造を変化させ自己活性化を制御していることが研究され、また変異のために活性化が持続するWASP分子がその特異な臨床症状と共に報告された。そこで、WASPの二峰性が分子内構造の変化に基づく可能性の検証を試みた。我々はこの変異L270Pに注目し野生型、L270P変異型の二通りのWASP全長cDNAを合成し、それぞれを組み込んだレトロウイルスベクターを作成した。今後この二通りのベクターをWASPが発現していない患者細胞株等にトランスフェクションして、解析をする予定である。また、細胞の活性化に伴いWASP分子も活性化する事が示唆されているが、活性化にはタンパク合成も伴うのでWASP抗原量も増える可能性があるため、タンパク合成阻害剤の存在かで単核球を刺激した条件でFCM-WASPを実施する計画が進行中である。近年、WASPが活性化によってリピッドラフトにの局在する事が示されている。そこで、共焦点顕微鏡によって二峰性の性状と細胞内での局在の関連も検討している。
|
Research Products
(4 results)