2003 Fiscal Year Annual Research Report
血小板産生および巨核球分化におけるBACH1転写因子の機能解析
Project/Area Number |
15591079
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
土岐 力 弘前大学, 医学部, 講師 (50195731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 悦朗 弘前大学, 医学部, 教授 (20168339)
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Keywords | 巨核球 / 転写因子 / BACH1 / NF-E2 |
Research Abstract |
【研究の目的】 ダウン症の新生児においては類白血病状態(TAM)を示す例が認められ、その一部が急性巨核球性白血病(AMKL)を発症する。BACH1遺伝子は、21番染色体上に座位し、この因子がTMD、AMKL関与しているの可能性を検索する。本研究の目的は、1.転写因子BACH1の過剰発現が引き起こす、血小板産生抑制のメカニズムを明らかにすること。2.BACH1過剰発現細胞を用いて、標的遺伝子を明らかにすること。3.ダウン症患者にみられるTAMとAMKLの発症における、BACH1の関わりについて検索することである。 【結果】 1.BACH1・トランスジェニック(Tg)・マウスの病理組織解析 赤芽球、巨核球特異的にBACH1.を発現するTgマウスを作製した。抹消血液では、血小板減少が認められたが、貧血は認められなかった。骨髄では著明な線維化がみられた。脾臓においては、巨核球の周りに線維化が認められた。肝臓において、赤芽球島が認められたが、線維化は認められなかった。 2.BACH1 Tgマウスの巨核球の解析 (1)Tgマウスの巨核球を分離し、透過型電子顕微鏡で観察したところ、デマルケイション膜およびα顆粒の形成が著しく抑制されていた。また、ミトコンドリアの空胞化、核におけるヘテロクロマチン領域の減少が観察された。これらは分化・成熟障害を示唆するものと考えられた。(2)胎生13.5日の肝臓細胞をトロンボポエチン存在下で培養することにより、巨核球をin vitroで増幅することが可能になった。この分画を用いて遺伝子の発現を解析した。その結果、β1-tubulin, Thromboxane A synthaseの発現が抑制されていることが示された。これらは、p45 NF-E2の標的遺伝子であり、BACH1がp45 NF-E2と拮抗的に作用することにより、巨核球の分化・成熟を抑制している可能性が示唆された。
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