2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呉 繁夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10205221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80216457)
大浦 敏博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10176828)
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Keywords | グリシン脳症 / NMDA受容体 / 抑制性グリシン受容体 / 多動 / モデルマウス |
Research Abstract |
グリシン脳症は、グリシン解裂酵素系の遺伝的欠損により引き起こされる先天代謝異常症の一つで、体液中グリシンの蓄積を特徴とする。本症には、新生児期にけいれん重積や昏睡などの症状を示す古典型と乳児期以降に精神発達遅滞、行動異常、熱性けいれんなどを主な症状とする軽症型が存在する。本研究で、私どもの開発した軽症型グリシン脳症モデルマウスを用い、治療に有効な薬物を検索した。このモデルマウスは、野生型マウスと比べ多動、攻撃性の亢進、不安様行動の増加、及び易けいれん性の亢進などの症状を持つ。今回の検索では、夜間の行動量を指標にして薬物を検索した。グリシンは、中枢神経系で大きく分けて2種類の神経伝達に関わっている。一つは、抑制性グリシン受容体を介した神経伝達で、もう一つは、NMDA型グルタミン酸型受容体のグリシン結合部位を介したこの受容体の興奮調節である。これに基づき、抑制性グリシン受容体のアンタゴニストとNMDA型グルタミン酸受容体のグリシン結合部位のアンタゴニストをモデルマウスに腹腔内投与し、多動の改善を検討した。その結果、NMDA受容体のアンタゴニストでは、野生型の行動量を変化させない薬量で、増加していた行動量を正常化した。更に、この薬剤のけいれん抑制効果を電撃けいれん試験にて検索したところ、亢進していた易けいれん性も正常化していた。この結果は、NMDA受容体のグリシン結合部位のアンタゴニストが軽症型グリシン脳症の治療において有効であることを示し、臨床応用の可能性を示唆していると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kudo T, et al.: "Transgenic expression of a dominant negative connexin26 causes degradation of the organ of Corti and nonsyndrmic deafness"Hum Mol Genet. 12. 995-1004 (2003)
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[Publications] Katsuoka F, et al.: "Small Maf compound mutants display CNS…"Mol Cell Biol. 23. 1163-1172 (2003)
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[Publications] Matsubara Y, et al.: "Detection of single nudeotide substitution by…"Hum Mutat. 22. 166-172 (2003)
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[Publications] Kayano S, et al.: "Novel IRF6 mutations in Japanese patients…"J Hum Genet. 48. 622-628 (2003)
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[Publications] Shintaku H, et al.: "Long-term treatment and diagnosis of…"Pediatr Res. (in press). (2004)
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[Publications] Kojima K, et al.: "Genetic testing of glycogen storage disease type Ib"Mol Genet Metabol. (in press). (2004)