2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシゾーム病中枢神系における病態解明をめざした基礎的研究
Project/Area Number |
15591086
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
榊原 洋一 お茶の水女子大学, 子ども発達教育研究センター, 教授 (10143463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩森 正男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90110022)
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Keywords | ペルオキシゾーム / Z65細胞 / プラズマローゲン / 過酸化水素 / コレステロールエステル |
Research Abstract |
ペルオキシゾーム欠損変異株Z65細胞と対照CHO-K1細胞の脂質を抽出した。TLCおよびTLC免疫染色法により各脂質成分の定性・定量分析を行い、さらに各脂質を分離後、GC-MSおよびFABMSを用いて構造変化を調べた。すでに報告したように、Z65細胞は対照細胞に比べ、全脂肪酸中のC24:0の割合が高く、C20:4の割合が低下しており、ペルオキシゾームの活性低下により長鎖を短鎖に変換する反応と不飽和結合の導入が影響を受けていることを示している。各脂質分子種についてペルオキシゾーム欠損の影響を調べたところZ65細胞では対照細胞に比べ、コレステロールエステル(CE)が増加し、ホスファチジルエタノールアミン(PE)とスフィンゴミエリンが低下していた。Z65細胞のPE含有量は対照細胞の60%であり、CEの増加量は2.4倍であった。CEの増加はのZellweger症候群脳においても認められる現象である。次に、プラズマローゲン型リン脂質の変化を調べた。Z65、CHO-K1細胞のPEに含まれるプラズマローゲン量は、14,7%および33.3%であり、約半量にまで減少していた。同様の減少はフォスファチジルコリンPC(1.4%、3.4%)、フォスファチジルセリンPS(7.0%、11.4%)にも見られ、3種類のリン脂質中のプラズマローゲン減少量は42.3%に達していた。プラズマローゲン型リン脂質の低下とスフィンゴ糖脂質の相補的増加は膜脂質の代謝変化が相互に影響し合っている結果であると思われる。プラズマローゲンは酸素ラジカルから細胞を保護する役割を持つと予想されることから、両細胞の過酸化水素に対する感受性を調べたが、予想通り、Z65細胞の方が低濃度で障害を受けた。
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