2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト臍帯血中に存在する可塑性を有する幹細胞の新たな細胞療法への可能性の検討
Project/Area Number |
15591088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鶴田 敏久 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (70197771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50179991)
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Keywords | 臍帯血 / 造血幹細胞 / 幹細胞 / ヘマンジオブラスト / 血管内皮細胞 / TEK / CD34 / 臍帯血移植 |
Research Abstract |
ヒト臍帯血内に、血液細胞ばかりでなく血管内皮細胞へも分化可能な幹細胞、いわゆるヘマンジオブラストが存在するか否かを検討した。もしヘマンジオブラストを分離することができれば、臍帯血は血液疾患、ばかりでなく血管疾患に対する新たな細胞ソースとなると考えられる。 我々は、血液細胞と内皮細胞の両者に発現するTEKとCD34に注目した。TEKは、臍帯血CD34+細胞の27±12%に発現されており、CD34+TEK+細胞とCD34+TEK-細胞の間で、造血活性に差違は認められなかった。そこで、両者間で血管内皮細胞への分化能に違いがあるか否かを解析した。血管内皮細胞への分化能は、移植NOD/SCIDマウスの後肢を結紮した虚血マウスモデルを作製し、結紮部位における新生血管でのヒト内皮細胞の有無、およびレシピエントマウスの肝臓類洞細胞から培養した内皮細胞中のヒト内皮細胞の有無により検討した。1x104個のCD34+TEK+細胞とCD34+TEK-細胞を各々7匹の虚血マウスモデルに移植したところ、全例でヒト造血の再構築が認められた。内皮細胞への分化能については、CD34+TEK+細胞を移植されたマウスでは、ヒト造血の再構築の程度にかかわらず、全例で内皮細胞への分化が確認されたが、CD34+TEK-細胞移植マウスでは、高率に再構築された3例において内皮細胞への分化が認められた。 以上の結果は、臨床応用を考えた場合、CD34+TEK+細胞の方がより高い内皮細胞への分化能を有していることを示している。また興味深いことに、内皮細胞前駆細胞はTEKを発現していることが報告されているので、CD34+TEK-細胞を移植されたマウスで認められたヒト内皮細胞は、内皮細胞前駆細胞よりも上位の内皮細胞と血液細胞の共通の前駆細胞から産生されたと推測され、臍帯血中にはヘマンジオブラストが存在すると考えられた。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Ebihara Y, et al.: "Successful treatment of natural killer(NK) cell leukemia following a long standing chronic active Epstein-Barr virus(CAEBV) infection with allogeneic bone marrow transplantation."Bone Marrow Transplant. 31. 1169-1171 (2003)
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[Publications] Yoshimatsu T, et al.: "MxA expression in patients with viral infection after allogeneic stem cell transplantation."Bone Marrow Transplant. 32. 313-316 (2003)
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[Publications] Wada M, et al.: "Tunica interna endothelial cell kinase expression and hematopoietic and angiogenic potentials in cord blood CD34+ cells."Int J Hematol. 77. 245-252 (2003)
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[Publications] Miysui T, et al.: "Impaired neutrophil maturation in the truncated mG-CSF receptor-transgenic mice."Blood. 101. 2990-2995 (2003)
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[Publications] Nosaka T, et al.: "Mammalian twisted gastrulation is essential for skeletolymphogenesis."Mol Cell Biol. 23. 2969-2980 (2003)
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[Publications] Sugiyama D, et al.: "Erythropoiesis from acetyl LDL-incorpolating endothelial cells into circulation at pre-liver stage."Blood. 101. 4733-4738 (2003)
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[Publications] Takenaka K, et al.: "The Role of phospholipase C-L2, a novel phospholipase C-like protein that lacks lipase activity, in B cell receptor signaling."Mol Cell Biol. 23. 7329-7338 (2003)
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[Publications] 江口直宏他: "樹状細胞の分化・成熟"臨床検査. 47. 235-243 (2003)
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[Publications] 辻浩一郎: "臍帯血造血幹細胞の造血能:成人骨髄造血幹細胞との比較"炎症・再生. 23. 181-185 (2003)
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[Publications] 辻浩一郎: "小児白血病ハンドブック「診療」"中外医学社、東京. 316 (2003)
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[Publications] 辻浩一郎: "心携造血細胞移植-わが国のエビデンスを中心に"医学書院、東京. 404 (2004)
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[Publications] 辻浩一郎: "血液の事典"朝倉書店、東京(印刷中).
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[Publications] 辻浩一郎: "細液細胞アトラス"文光堂、東京(印刷中).