2003 Fiscal Year Annual Research Report
インヒビター保有血友病における抗イディオタイプ抗体誘導機序に関する研究
Project/Area Number |
15591127
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00201616)
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Keywords | 第VIII因子 / インヒビター / 免疫寛容療法 |
Research Abstract |
血友病犬にイヌクリオプレチピテートを輸注しインヒビター犬モデルの作成を試みたが、二頭のうち一頭で一過性のインヒビターの出現をみただけで、インヒビター犬作製には至らなかった。そのため、ヒト血友病A患者に発生したインヒビターを用いた実験系に切り替え、その解析をin vitroで行うこととした。まず、インヒビター患者のうち、高力価のインヒビターを有する7名の患者血漿からIgGを精製し、インヒビターIgGの生化学的・免疫学的解析を行った。ウェスタンブロット法による各インヒビターの認識部位の同定では7例中3例が第VIII因子H鎖を、4例がL鎖を認識していた。インヒビター力価は4〜196 Bethesda単位(BU)/mgであった。各インヒビターIgGと正常血漿を37℃で反応させ、第VIII因子活性の失活するパターンを継時的に観察した。その結果、インヒビターIgGを1BU/mlに調整した場合は各IgG間で有意な差は認めなかったが、10BU/mlに調整した場合はH鎖を認識するインヒビターとL鎖を認識するインヒビターの間で明らかな差を認め、インヒビターの認識部位によって第VIII因子活性の失活パターンが異なることが判明した。この知見は免疫寛容療法を行う上で、その成否に影響を与える可能性が示唆され、次年度は実際に免疫寛容療法の成功および不成功例のインヒビターIgGを用いて解析を行う計画である。
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