2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591149
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
桜庭 均 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (60114493)
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Keywords | リソソーム病 / ファブリー病 / α-ガラクトシダーゼ / 酵素補充療法 / 酵母 / 構造 |
Research Abstract |
リソソーム病の新規治療薬を作製するため、産業技術総合研究所の協力を得て、酵母の発現系を利用して、リソソーム病の中でも発生頻度の高いファブリー病の酵素薬開発を試みた。昨年度までに、特定の糖鎖合成酵素遺伝子を修飾した酵母Saccharomyces cerevisiae株で、完全ヒト型糖鎖を持つα-ガラクトシダーゼを生産する方法を確立した。この酵母で生産した酵素α-ガラクトシダーゼは、ファブリー病のモデルマウスの臓器中に蓄積したセラミドトリヘキソシドを分解し、治療に応用できる可能性が大きいと考えられた。しかし、この酵母では、酵素の生産効率が低かったため、新たに同様な操作により、ヒト型糖鎖を持つα-ガラクトシダーゼを生産するOgataea minuta株を樹立した。この酵母株では、前者に比べて生産効率が約400倍に増加した。ファブリー病モデルマウスの尾静脈から、0.5mg/kg体重の量の本酵素を血管内投与した所、2時間後に、肝臓の酵素活性は野生型のそれの300%に、腎、心および脾臓の酵素活性は40%に至るまで増加した。3.0mg/kg体重の量の酵素投与では、肝臓の酵素活性は野生型のそれの1500%に、腎、心および脾臓の酵素活性は300-400%に至るまで増加した。Ogataea minutae株で生産した組み換えα-ガラクトシダーゼは、ファブリー病の酵素補充治療に有効と考えられた。 さらに、ファブリー病に対するテーラーメード医療に必要となる臨床表現型の予測法を開発するため、α-ガラクトシダーゼの立体構造変化と臨床表現型との関連性に関して解析した。ヒト野生型α-ガラクトシダーゼの結晶構造に変異を導入してエネルギー最小化計算を行い、155種類の変異体モデルを構築した。古典型ファブリー病では、機能的に重要な部位での変化または他の部位に大きな構造変化がみられた。一方、亜型ファブリー病では、機能部位以外の領域に小さな構造変化を起こすと考えられた。
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Research Products
(7 results)