2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591149
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
桜庭 均 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (60114493)
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Keywords | ファブリー病 / マンノース-6-リン酸 / アルファ-ガラクトシダーゼ / 疾患モデルマウス / 酵母 / 酵素補充療法 |
Research Abstract |
これまでに、ファブリー病の治療薬として、それぞれ、ヒト線維芽細胞およびチャイニーズハムスター卵巣細胞で生産されたアガルシダーゼ・アルファとアガルシダーゼ・ベータとが開発されており、前者は欧州で、後者は欧州、米国および日本で承認されている。両者の性状と効果を比較するため、生化学的解析を行った。これらの酵素が細胞に取り込まれるために必要なマンノース-6-リン酸残基の量は、それぞれ、1.3モル/モル蛋白および3.6モル/モル蛋白であった。また、両者をファブリー病患者由来の培養線維芽細胞の培地中に加えて、その細胞内への取り込みについて比較した。その結果、培地中に加えた酵素の活性で合わせた場合でも、蛋白量で合わせた場合でも、アガルシダーゼ・ベータの方がアガルシダーゼ・アルファよりも、細胞内への取り込みがよいことが判明した。また、これらをファブリー病の疾患モデルマウスの尾静脈内に投与して、ファブリー病での主な障害臓器である腎臓や心臓での酵素活性の増加に関して調べた所、いづれの臓器においても、アガルシダーゼ・ベータの方が酵素活性の増加度が高かった。これらの酵素の取り込みの違いは、マンノース-6-リン酸の含有量の差によると考えられた。次に、酵母で生産した組み換えヒトアルファ-ガラクトシダーゼのマンノース-6-リン酸残基の量を測定した所、3.8モル/モル蛋白であった。また、これをファブリー病マウスに投与した所、腎臓と心臓において、アガルシダーゼ・ベータを投与した場合とほぼ同程度の酵素活性増加が認められた。酵母で生産した酵素は、経済的で、その生産過程でウシ胎児血清を必要としない上、アガルシダーゼ・ベータと同程度の効果がみられたことから、酵素補充療法用治療薬として有望と考えられる。
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Research Products
(7 results)