Research Abstract |
平成16年度における主たる成果は,以下の通りである. 1.SHOX遺伝子発現調節領域の決定 SHOXは,ターナー症候群における成長障害と骨格徴候の責任遺伝子である.われわれは,昨年度までにSHOX半量不全に特徴的なLeri-Weill型軟骨骨異形成症患者40例以上を解析し,33例においてSHOXを含む微小欠失を,3例において遺伝子ない変異を同定した.その後,残る4例においてSHOX周辺の異常と別の遺伝子(HOX遺伝子群)変異を検討した.その結果,4例においてSHOX遺伝子から3'方向へ約150kb離れた39kb領域が共通して欠失していることを見いだした.さらに,SHOX完全欠失に特徴的なLanger型中肢骨短縮症患者においても,1個のX染色体構造異常と正常X染色体における同領域の微小欠失が同定された. 本年度では.in silico解析により,この39kb領域内に種を越えて保存されている領域を6カ所同定した.さらに,ルシフェラーゼアッセイにより,この保存領域の中の約300bp領域にSHOX発現調節領域が存在するというデータを得た.この成績は、この共通欠失領域内にSHOX発現調節配列が存在し、その欠失がSHOXの発現異常を招いた可能性を示唆するもので,SHOX導入マウスの基礎的データとなると同時に,発現調節異常症という概念を提唱しうるものである. 2.ターナー症候群モデルマウスの卵巣機能解析 われわれは,ターナー症候群モデルとなる39,Xマウスを入手し,その卵巣機能を正常マウスと比較検討した.その結果,39,Xマウスが早発性卵巣機能低下を呈することが確認された.これにより,卵母細胞における対合不全による性腺異形成発症機序を解析するシステムが完成した.
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