2003 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞の分化制御による新生児脳白質障害の予防・治療に関する研究
Project/Area Number |
15591155
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
常石 秀市 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (10271040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 玉基 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60362779)
横山 直樹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20314487)
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Keywords | トロンビン受容体 / PAR-1 / 血小板由来成長因子 / PDGF-α受容体 / hypermyelination / 低酸素性虚血性脳障害 |
Research Abstract |
トロンビン受容体(PAR-1)の活性化によるグリア細胞の分化抑制制御の中心的役割を、血小板由来成長因子(Platelet-derived growth factor : PDGF)α型受容体の系が担っているという仮説のもと、PDGF-α型受容体と低酸素虚血脳障害の関係を幼若ラットにて検討した。 PDGF-α型受容体はオリゴデンドログリア(OL)前駆細胞にのみ発現する分化マーカーである。低酸素虚血負荷(左頚動脈結紮+8%酸素2時間負荷)により、PDGF-α型受容体は、低酸素虚血負荷側の障害を受けた大脳皮質にのみ染色性を認め、負荷後14日目まで染色性が持続した。本受容体の活性化はOL前駆細胞の分化を抑制し、その増殖を促すと考えられている。一方、PDGF-α型受容体の発現を認めた同じ障害側皮質において、健側よりも早期に髄鞘蛋白であるproteolipid蛋白と塩基性ミエリン蛋白の発現を確認した。このことは、障害部位でのOL前駆細胞の分化促進を意味している。すなわち、障害時にOLの分化を抑制して前駆細胞レベルに維持し、かつその増殖を促して髄鞘化のソースであるOL前駆細胞を生存維持し、その後障害環境が消え去った後に、過分化現象が起こり、幼若脳の障害部位に見られる組織学的hypermyelination現象を分子生物学的に捉えているものと考えられた。 このように、PDGF-α型受容体を活性化することで、OLの分化を抑制して障害への閾値を高め、低酸素虚血障害におけるダメージを軽減させる可能性が示唆された。この現象を利用し、PDGF-A鎖とα型受容体の系を外因的に制御することで、幼若な脳白質の障害を防護するための戦略を考案していきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Morioka I, Tuneishi S, Takada S, Matsuo M: "PDGF-α receptor expression following hypoxic-ischemic injury in the neonatal rat brain"Kobe Journal of Medical Sciences. (in press). (2004)
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[Publications] Herini ES, Tsuneishi S, Takada S, Nakamura H: "Clinical features of infants with subependymal germinolysis and choroid plexus cysts"Pediatrics International. Vol.45 No.6. 692-696 (2003)
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[Publications] 常石秀市, 上谷良行, 中村 肇: "極低出生体重児の就学前発達状況-VIQ・PIQとPQ-"産婦人科の世界. 55巻1号. 49-57 (2003)