2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス応答因子Nrf2が角化細胞と色素細胞の分化・紫外線反応に果たす役割
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15591167
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川内 康弘 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (00272196)
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Keywords | Nrf2 / 酸化ストレス / 紫外線 |
Research Abstract |
酸化ストレス応答系Nrf2-Keap1は、酸化ストレスに対して細胞が対抗する中心的システムとして最近同定された細胞内シグナル伝達系であり、細胞が酸化ストレスに暴露されると活性化し、抗酸化・生体防御蛋白の発現を活性化する経路であり、酸化ストレスから細胞を保護する主要な経路である。Nrf2は、酸化ストレス応答遺伝子の転写調節領域(ARE)に結合する転写因子であり、通常は細胞質内で抑制蛋白であるKeap1と結合して不活性化されているが、活性酸素などの酸化ストレスがかかるとKeap1との結合が解除されて活性化し、細胞質から核内移行し、上記の酸化ストレス応答遺伝子の転写を活性化させて酸化ストレスから細胞を防御する。一方、紫外線(以下UV)照射は、細胞のDNAを直接傷害することにより、発癌や老化を引き起こすものと従来から考えられてきた。しかし、近年、UV照射は、NOや活性酸素などの酸化ストレス物質の強力な細胞内発生刺激であることが知られてきており、UVの細胞傷害作用、発癌性、老化原性は、UVのDNAに対する直接的障害作用だけではなく、UV照射によって発生した活性酸素等の酸化ストレスに起因することが注目されてきている。 平成16年度は平成15年度に引き続き、真皮由来の線維芽細胞を用いて主として細胞レベルでUV照射におけるNrf2・Keap1系の役割を解析した。その結果、(1)皮膚にはNrf2が豊富に発現していること、(2)Nrf2発現レベルは表皮ケラチノサイトの分化(角化)により変化しないこと、(3)UVA照射によりNrf2の活性化(核内移行)が照射後4時間以内に起こり、その活性化は光増感剤であるポルフィリン添加により増強されること(4)UVB照射では、Nrf2はむしろ不活性化されること、(5)UVA照射による細胞死に対して、Nrf2の過剰発現は保護的に働くこと、などを明らかにし、特にUVA照射による皮膚細胞障害に対してNrf2活性化が細胞保護に重要であることを示した。
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Research Products
(6 results)