2004 Fiscal Year Annual Research Report
Basigin(CD147)の悪性黒色腫の浸潤・転移に果たす役割に関する研究
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15591185
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
金蔵 拓郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70177509)
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Keywords | Basigin / 悪性黒色腫 / 転移 / MMP |
Research Abstract |
ベイシジンは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通糖蛋白質で、腫瘍の浸潤と転移に関与する可能性が報告されている。平成15年度には免疫組織学的解析を行ない、悪性黒色腫細胞におけるベイシジンの発現と腫瘍の転移には相関があることが明らかにし、更にベイシジンは黒色腫細胞上に発現し腫瘍巣周囲の線維芽細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現を誘導することによって浸潤・転移に関与している可能性を示した。 平成16年度には、in vitroの系でベイシジンが線維芽細胞におけるMMPの発現を誘導するか否かを検討した。まず、ベイシジンを発現しているメラノーマ細胞株の選択を行なった。悪性黒色腫細胞株のG361とKHm-1/IVがベイシジンを発現していることを、蛍光抗体法とウェスタンブロッティングで確認した。コントロールとして用いた正常ヒトメラノサイト(NHMC)、及び正常ヒト真皮線維芽細胞はベイシジンを発現していなかった。これら二種類のメラノーマ細胞株G361とKHm-1/IVを真皮線維芽細胞と混合培養し、線維芽細胞におけるMMPの発現をウェスタンブロッティング法で観察した。メラノーマ細胞と混合培養することによって、線維芽細胞によるMMP-1(collagenase)、MMP-2(gelatinase)、MMP-3(stromelysin)、MT1-MMP(膜型MMP)の産生が誘導された。このMMPの産生誘導は加えるメラノーマ細胞の数に依存していた。また抗ベイシジン抗体を加えることで有意に抑制された。ベイシジンを発現していない正常メラノサイトではMMPの産生は誘導されなかった。以上の結果は、メラノーマ細胞上のベイシジンが線維芽細胞におけるMMPの発現を誘導していることを示している。
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