2004 Fiscal Year Annual Research Report
トリクロロ酢酸とフェノールの皮膚組織への傷害性と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
15591188
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 有紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90316117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 福実 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40156964)
大谷 稔男 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10326366)
貴志 知生 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10336878)
西出 武司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (70347590)
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Keywords | トリクロロ酢酸 / フェノール / アポトーシス / TUNEL法 / caspase-3 / ケミカルピーリング / 皮膚悪性腫瘍 / p-53 |
Research Abstract |
1.昨年度、トリクロロ酢酸とフェノール塗布後の皮膚を経時的に生検して、ケラチン6,7,10,16、インテグリン、カドヘリン等の免疫染色を行い、創傷治癒の過程や、TUNEL法で、アポトーシスの動態をみた結果、フェノールでは早期より、真皮血管内皮細胞に発現し、トリクロロ酢酸では表皮細胞に発現したことより、今まで同じ作用として考えられていた2つの試薬の機序が異なることを明らかにした。今年度、両者のアポトーシスの動向に注目し、TUNEL法、第VIII因子、caspase-3、Fasを用いて免疫組織学的に追加検討した。その結果、2時間後のフェノールでは、caspase-3は、表皮角化細胞、真皮血管内皮細胞に強陽性に発現し、真皮血管内皮細胞はTUNEL法でも同様に発現を認めた。また、表皮角化細胞は、12時間後に、caspase-3、TUNEL法ともに発現した。以上より、フェノールの作用として、特に血管内皮細胞への早期のアポトーシス誘導が示唆された。一方、60%TCAは、TUNEL法では、表皮角化細胞は2時間〜1日後まで、真皮血管内皮細胞は2〜12時間後まで発現したが、caspase-3は、表皮では6〜12時間後に基底細胞に部分的に発現し、真皮では6時間〜1日後まで真皮血管内皮細胞や線維芽細胞に不均一に発現した。以上より、60%TCAによる組織障害には、アポトーシスの関与は否定的と考えた。 2.皮膚悪性腫瘍に対するケミカルピーリング治療の効果 外科的処置が出来ない皮膚癌の患者に治療として行い、経過を観察した。治療後1〜4年の経過観察で、完治が可能であると考えられるのは、日光角化症、ボーエン病、表在性の基底細胞癌の患者で、また、その中で治療を中止し、外科的処置をする必要性を認めた4症例(日光角化症2例、ボーエン病2例)を病理組織学的に検討した。その結果、日光角化症の1例、ボーエン病の2例はすべて多発性の症例で、免疫組織学的検討の結果、初診時生検組織像より癌抑制遺伝子のp-53が腫瘍細胞に強く発現していたことより、患者の素因が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)