2003 Fiscal Year Annual Research Report
クロモグラニンB遺伝子多型の各種精神疾患の病態生理に及ぼす影響についての研究
Project/Area Number |
15591217
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲田 俊也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00184721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北上 富常 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (90345900)
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Keywords | 統合失調症 / クロモグラニン / 遺伝子 / 血中濃度 / 気分障害 / 不安障害 |
Research Abstract |
【はじめに】統合失調症の発症には遺伝的要因の関与することが想定されており,近年は遺伝子解析による発症脆弱性遺伝子の同定が精力的に行われている。クロモグラニンは神経細胞にも広く分布する酸性可溶性蛋白であるが,統合失調症患者の脳脊髄液中のクロモグラニンA,Bの濃度が健常人と比較して有意に減少し,死後脳を用いた研究でも海馬CA3細胞においてクロモグラニンB密度の減少が示されていることから,統合失調症の病態生理に関与していることが想定されている。われわれはこれまでにクロモグラニンB遺伝子と統合失調症との間に有意な関連があることを報告しているが,これまでにクロモグラニンAとの関連研究については有力な統合失調症の候補関連遺伝子であるにもかかわらず行われていない。今回われわれはクロモグラニンAおよびB遺伝子が統合失調症等の各種精神疾患と関連するかどうかについて検討した。【対象と方法】対象は本研究の説明と同意を文書にて得た日本人統合失調症患者200名と性別・年齢を一致させた日本人健常者200名で,診断はDSM-IVに基づいて行われた。JSNPからアミノ酸置換を伴う遺伝子多型を選択し,統合失調症患者,健常者の遺伝子型をPCR-RFLP法により決定し,現在アレル,ハプロタイプによる関連解析を行っている。なお,本研究は3省合同のゲノム研究に関する倫理指針に基づき,名古屋大学倫理委員会の承認を得て行われている。【結果と考察】現在のまでの解析時点ではクロモグラニンA遺伝子と統合失調症との関連については認められていない。現在われわれはクロモグラニンA,Bの血中濃度の測定法を確立し,新たに統合失調症患者,不安障害患者,気分障害患者,健常人試料の収集に着手しており,今後は他の精神疾患との関連や血中濃度と遺伝子多型との関連についても検討する予定である。
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