2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経生理学的脳機能画像による反復的経頭蓋磁気刺激治療の刺激条件の確立
Project/Area Number |
15591220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鵜飼 聡 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80324763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激 / 高周波振動 / 体性感覚誘発電位 / 介在ニューロン / Stroop課題 / 統合失調症 / 神経ネットワーク / 視床痛 |
Research Abstract |
本研究では、反復的経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療に用いる、具体的な最適刺激条件を、神経生理学的機能画像、脳機能測定・解析法から決定するとともに、当該治療法の作用機作の解明を目指している。平成16年度の主な研究実績は下記のとおりである。 1)体性感覚誘発電位(SEP)の高周波振動HFOs(high frequency oscillations)の変化を指標として、健常者の体性感覚野に与えた低頻度rTMS(0.5Hz、50回、運動誘発閾値の80%強度)が、皮質興奮性に与える影響について検討したところ、SEPには変化を認めない一方、HFOsの有意な増強を認めた。HFOsは皮質内GABA系抑制性介在ニューロンの活動を反映すると考えられているので、低頻度rTMSによる皮質興奮性の抑制は、抑制性介在ニューロンの作用の増大を通して行われている可能性が示唆された。また、HFOsがrTMSの最適刺激条件を検討する際の客観的な指標になりえることが示された。 2)脳磁図の空間フィルタ解析を用いて、Stroop課題の刺激提示から回答までの短時間の神経ネットワークの振る舞いを時間窓200msの高い時間分解能で機能画像化する方法を開発するとともに、健常群、統合失調症の幻聴群、非幻聴群の3群での振る舞いの差異について検討した。前頭前野背外側部DLPFC(dorsolateral prefrontal cortex)での活動が、健常群では左優位に両側性に、幻聴群では右優位、非幻聴群では左優位となることが示された。 3)視床痛などの求心路遮断痛に対するrTMSを用いた治療を大阪大学医学部倫理委員会の承認を得て施行中である。患側の第1次運動野に与えたrTMS(1Hz、または10Hz)の治療前後でのMEG、EEG、SPECT、認知機能の変化、さらにrTMSの刺激直前・直後のEEGの変化を脳機能画像的解析手法を用いて検討している。
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