2004 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスの分子メカニズムとアルツハイマー病の発症機構に関する研究
Project/Area Number |
15591221
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
紙野 晃人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40307955)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイド蛋白 / 小胞体ストレス / 分子シャペロン |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の病態過程は、アミロイド蛋白Aβの産生上昇を主因として進行するとする「アミロイドカスケード仮説」が広く受け入れられているが、Aβ産生上昇機序については不明な点が多い。一方、ADをはじめ、パーキンソン病、ポリグルタミン病等の神経変性疾患は神経細胞内の異常蓄積が小胞体(ER)ストレスを介して神経細胞死をまねくとする報告が近年増えつつある。本研究は、ERストレス反応がAβ産生に及ぼす影響について検討し、以下の結果を得た。 1.SY5Y/APPsw細胞にERストレスをかけると、分泌されるtotal Aβ、Aβ42、およびsAPPは減少する。一方、ERストレスドミナントネガティヴ細胞(ΔIRE導入細胞)では、Aβの分泌は上昇する。 2.ERストレス後のAPPの局在を免疫組織学的にあるいは細胞小器官分画をして検討すると、細胞膜からシスゴルジあるいはERへのdislocationが観察された。一方、ERストレスドミナントネガティヴ細胞(ΔIRE導入細胞)ではその現象が観察されなかった。 3.ERストレス下でのAPPと分子シャペロンBipの結合をIPで検討すると、結合している事が観察された。 4.Bip inducer X(BiX)はERストレスを起こさず、Bipのみを誘導する事が確認された。 5.BixをSY5Y/APPsw細胞に添加すると、濃度依存的にAβ産生を抑える事が観察され、同時にAPPのmaturationも阻害していた。 BipはERストレスかで産生され、APPに結合する事で、APPの切断場所への輸送を遅らせ、結果としてAβ産生を低下させる。一方、Bip誘導が不充分となるERストレス不全細胞では、この現象が起きず、相対的にAβの上昇を招く。人為的にBipを誘導させると、APPの輸送を遅らせ、Aβ産生を抑える事ができ、新たなADの治療戦略になるかもしれない。
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Research Products
(6 results)