2004 Fiscal Year Annual Research Report
幼若期てんかん原性形成と成長発達過程のけいれん準備性に及ぼす内分泌撹乱物質の影響
Project/Area Number |
15591225
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Research Institution | NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOTTORI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉岡 伸一 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 助教授 (00191544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井元 敏明 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 助教授 (10109639)
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Keywords | てんかん / 扁桃核キンドリング / 内分泌撹乱物質 / ラット / ビスフェノールA / エストラジオール / 発育 |
Research Abstract |
ビスフェノールA(BPA)のラット扁桃核キンドリングに及ぼす急性効果を検討するとともに,周産期に投与した際の幼若期及び成熟期の行動及び発育を検討した. 1.成熟ラット扁桃核キンドリング形成過程に及ぼすBPAの影響 成熟ラット扁桃核キンドリング形成過程に及ぼすBPAの影響を検討した.キンドリング刺激30分前にBPAならびにエストラジオールベンゾエー(EB)を腹腔内投与し,キンドリング実験を行った.vehicle投与ラットを対照群とした.BPA群はコントロール群との間に有意な差を認めなかったが,EB群では発作完成に要する刺激回数が有意に少なかった. 2.成熟ラット扁桃核キンドリング完成後の発作症状に及ぼすBPAの影響 扁桃核キンドリングが完成した成熟ラットを用い,発作症状に及ぼす内分泌撹乱物質の影響を検討した.キンドリング刺激を与え,発作を確認した後,BPAならびにEBを投与し,30分後,90分後に再び刺激を与えた.vehicle投与ラットを対照群とした.BPA群,コントロール群ともに投与前と比べ,発作症状の変化が見られなかったが,EB群では投与前に比べ,後発射持続時間が有意に延長した. 3.幼若期および成熟期の行動に及ぼす周産期BPA暴露の影響 妊娠12日目より生後10日目まで母ラットに経口的にBPA(1mg/kg)を投与した群,対照として生後1日目から9日目まで隔日にEB20μg/gを投与した群,及び無処置群(コントロール)を用いて10日齢、70日齢の行動をopen-field testを用いて比較した.BPA群は10日,70日齢ともに行動の変化を認めなかったが,EB群は70日齢の行動量が減少した.体重はBPA群,EB群ともに60日齢までコントロール群に比べ有意に低下し,80日齢の睾丸重量はEB群のみ軽かった. 以上の結果から,BPAの急性投与はEBと異なり,キンドリング形成過程及び完成後の発作症状に影響を与えなかった.また,周産期のBPA暴露は行動量に影響を及ぼさなかったが,EBと同様に体重を指標とした成長発達過程に影響を及ぼすことが示唆された.
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Research Products
(3 results)