2003 Fiscal Year Annual Research Report
実験的ADモデルにおけるAβ生成および分解酵素の役割に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
15591239
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
続 佳代 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60207420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 浩一 北海道立衛生研究所, 微生物部細菌科, 科長 (90177915)
深津 亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10113614)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / APP遺伝子 / ネプリライシン / BACE / クロロキンラット / 抗原賦活化処理 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)は脳のAβ沈着症であることから、治療や予防のためには脳内のAβ量を低下させることが必要である。アミロイド前駆体蛋白からAβを切り出す酵素であるBACE、産生されたAβを分解する酵素ネプリライシン(NEP)の役割、Aβとの相互関係を明らかにするために、クロロキン動物モデルにおいて以下の検討を行った。 I.BACE、NEPに対するポリクローナル抗体の作成: BACEのcDNAの塩基配列より、N端部分(β-secN)、中間部分(β-secM)、C端部分(β-secC)の配列を選びペプチドを合成し、キャリア蛋白を結合させた後、家兎に免疫して高力価のポリクローナル抗体を作製した。NEPはヒトcDNAの塩基配列より、マウス、ラットとの共通配列部分(aa123-131)を選択し、ペプチドを合成した。現在家兎に免疫中であり、以下の実験は抗NEP抗体(aa45-743、R&D社)を購入して使用した。 II.クロロキン動物モデルの筋病変での病理学的、免疫病理学的検討: 雄ラット右後足の座骨神経を結紮し、クロロキン50mg/kgを腹腔内に1日1回連続投与した。投与0、7、14、21、28日目にヒラメ筋を摘出して以下の検討を行った。 1.病理学的検討:HE染色、Gomori-trichrome染色の結果、投与7日目より筋線維の萎縮、局所的崩壊が認められ、筋細胞内空胞も認められるようになった。投与14日目には病変は進行し、赤色に染め出された空胞(rimmed vacuole)が増加した。 2.免疫病理学的検討:ほぼ病変が完成される14日目のホルマリン固定標本に抗Aβ抗体を用いて免疫染色を行った。空胞および空胞周囲が染色され、空胞内顆粒状構造物も染め出された。抗β-secN、β-secM、β-secC抗体、および抗NEP抗体を用いた免疫染色ではクエン酸緩衝液pH6.0中で、121℃、10分の抗原賦活化処理を行い、抗Aβ抗体陽性所見を確認した標本に、免疫染色を行った。これらの抗体では細胞質が瀰漫性に、また一部の空胞も染色され、その局在は抗Aβ抗体で染色される陽性構造物と部分的に一致した。抗原賦活化処理が最適かどうかもさらに検討中である。
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