2003 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存動物モデルにおける海馬アミノ酸神経伝達と認知機能障害に関する研究
Project/Area Number |
15591243
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 利人 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10196850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石 龍徳 順天堂大学, 医学部, 講師 (20175417)
安宅 勇人 順天堂大学, 医学部, 助手 (60348977)
大沼 徹 順天堂大学, 医学部, 講師 (10286734)
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Keywords | phencyclidine / cocaine / drug abuse / hippocampus / neurogenesis / sensitization / rat |
Research Abstract |
コカインおよびフェンサイクリジンの薬物依存物質をラットに慢性投与し、行動感作現象を惹起させた後に海馬顆粒細胞層における神経新生現象の変化を検討した。 SD系雄性ラットにコカイン20mg/Kg(コカイン群)、フェンサイクリジン7.5mg/kg(フェンサイクリジン群)および同量の生理食塩水(対象群)を一日一回2週間連続して腹腔内投与した。この間自発運動量の測定、常同行動の出現、失調症状の出現などの行動解析を行った。最終投与24時間後5'-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)を投与し、BrdU投与2時間後に潅流固定した。 その結果、投与2週間目には自発運動量は有意に亢進し明らかな常同行動も出現し、行動感作現象が確認された。失調症状は投与後期に減弱し耐性現象も確認された。 固定脳から海馬を取り出し7μm厚の切片を50枚作成し,anti-BrdUによるアビジン-ビオチン法にて免疫組織化学的に新生細胞を染色した。対象群を100%としてコカイン群およびフェンサイクリジン群のBrdU陽性細胞の比率を求めた。また、歯状回の断面積を求めるためβactin mRNAをin situ hybridization法により描出しアウトラインを取り内部面積を測定した。 その結果、コカイン群およびフェンサイクリジン群では神経新生率は対象群に比してそれぞれ約26%抑制され有意に減少していた。一方、コカインやフェンサイクリジンの単回投与では有意差はみられなかった。歯状回の大きさ及び細胞密度に関してはコカイン投与による影響は見られなかった。このため今回示されたBrdU陽性細胞の減少は、歯状回自体の縮小に起因するものではなく薬物依存物質の慢性投与による影響と考えられた。 神経新生現象の抑制には、薬物依存物質によるドパミン神経糸やグルタミン酸神経系の異常の関与が考えられたが、ストレス刺激による影響もあると思われた。今後抑制された幼若細胞の分化および神経新生抑制の回復について検討する必要があると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M Yamaguchi, T Suzuki, et al.: "Repetitive cocaine administration decreases neurogenesis in adult rat hippocampus"Annals of NY Academy of Science. in press.
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[Publications] T Suzuki, T Ohnuma, et al.: "Glutamatergic and GABAergic dysfunctions in animal models of schizophrenia"Research Trends. in press.
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[Publications] H Baba, T Suzuki, et al.: "Expression of nNOS and soluble guanylate cyclase in schizophrenic brain"Neuroreport. in press.