2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疲労症候群の認知行動療法と段階的運動療法の適応條件に関する研究
Project/Area Number |
15591246
|
Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
志水 彰 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (90028457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 真生 大阪大学, 大学院・医学系研究・精神医学教室, 助手 (60362711)
|
Keywords | CFS / 認知行動療法 / 疲労度 / 認知の歪み / うつ症状 |
Research Abstract |
平成15年4月1日から平成16年2月29日までの期間に、大阪大学医学部附属病院血液・腫瘍内科疲労外来を受診した患者86名に対しSCIDに準じた精神科スクリーニング診察を行い、精神疾患のない群(I群)22名、CFS発症後に精神疾患を合併した群(II群)22名、CFS発症時点で精神疾患の診断基準も満たした群(III群)24名、CFSの精神医学的除外規定に当てはまる群(除外群)18名に分類した。本年度はCFSの認知行動療法の精神疾患に対する効果を除外するためI群の患者を対象にした。またCFSの認知行動療法はわが国では初めての試みであり、基本的な治療技法の確立を行うため、事前に説明を行い同意の得られた少数例において治療効果、治療上の問題点を慎重に検討しながら研究を実施した。現在のところ、CFS患者I群3名に対し認知行動療法を実施しており、待機中の患者は1名である。臨床心理士2名の体制で関西福祉科学大学心理教育相談センター上本町オフィスにおいて2週間に1回45分の治療セッション合計10回という設定で実施している。治療前には、PDQ-R(人格傾向)、SSAS(身体症状に対する過敏さ)、CISS(コーピング能力)、社会再適応評価尺度(出来事型ストレス)により状態評価をし、治療の効果の判定のため、自覚症しらべ(疲労度)、JIBT(認知の歪み)、SDS(うつ症状)、MOS-SF36(QOL)を治療前後で評価している。治療内容は、CFSに特徴的な疲労を遷延化させる認知の歪み(過剰適応、活動回避、身体症状へのこだわりなど)を問診、活動記録表を通じて患者自ら認識できるよう援助し、適切な作業、休息計画の作成と実施、活動量の漸増を行うというものである。現在治療中の患者はいずれも疲労度などに改善が見られ、大きなトラブルもなく、われわれの実施している認知行動療法の有効性が示唆された。今後、II群、III群の症例にも実施し、症例数をさらに増やしていく予定である。
|