2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しいMR用造影剤マンガンポルフィリンの再潅流後心筋梗塞壊死巣への集積の評価
Project/Area Number |
15591264
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹原 康雄 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (70188217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
那須 初子 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70334985)
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Keywords | マンガン / 金属ポルフィリン / MR1 / 造影剤 / 心筋血流 / 壊死 / 心筋梗塞 / ラット |
Research Abstract |
(目的)平成16年度は壊死特異性造影剤HOP-9Pが、心筋梗塞巣に選択的に集積することを確認するための造影剤組織定量を試みた。(方法)SDラットを用いて、左冠動脈閉塞により、急性心筋梗塞を発生させ、その後に再灌流を得た状態の動物モデルを作製して実験に供した。全身麻酔下に気管内挿管して、人工呼吸下で開胸し、スネアループにより左冠動脈を90分間閉塞したのち、再灌流させた。再灌流開始から30分後に造影剤を尾静脈から投与した。再灌流開始後5時間目に再び、冠状動脈を結紮した後、下大静脈から青色染料水溶液を注入し、しかる後、麻酔薬の致死量を静脈内投与して屠殺し、心臓を摘出、全体像から虚血範囲を確認した後、小動物脳スライサーを用いて心臓を短軸に3mm厚で6〜7断面にスライスし、断面をデジタルカメラにて撮影、心基部と心尖部の各一枚を除外し、それぞれに35℃で15分間triphenyltetrazolium chloride(TTC,)染色を施したのち、再びデジタルカメラにて撮影した。ここで、青色染料による不染領域は虚血領域を表し、TTC染色による不染領域は心筋壊死巣を表す。両方の結果を参照しながら、スライスされた各心筋断面を実体顕微鏡下で、更にいくつかの分節に分割した。正常心筋、壊死心筋とに切り分けられた検体はナンバーリングされて、発光分光分析によるマンガン原子とガドリニウム原子の定量に提出された。10週齢から12週齢の7匹のSDラット(SLC、静岡)を上記の方法で再灌流心筋梗塞モデルに供した。7つの心臓から全部で50検体を切り分けて採取し、ICP発光分光分析装置にてマンガンの組織定量を施行した。(結果)壊死心筋組織と正常心筋組織、および虚血にはなったが、壊死を免れた心筋組織(いわゆるjeopardized-myocardium)への造影剤分布は、マンガンの濃度を組織定量することにより反映される。マンガンの組織内濃度は壊死心筋では平均値23.7μg/g、正常心筋では平均値2.9μg/g、jeopardized-miocardiumでは1.8μg/gとなり、正常心筋に対して壊死心筋で8倍以上の集積を認めた(P<0.01)。(結論)壊死心筋には正常心筋に比較して有意に多くのHOP-9Pが集積するのを確認した。マンガンポルフィリン造影剤が選択的に集積する。平成15年度の実験結果と総合すると、HOP-9Pを用いて、壊死心筋の範囲が正確に特定できる可能性が示唆された。
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