2004 Fiscal Year Annual Research Report
胸部単純写真におけるコンピュータ支援診断の研究-経時的差分画像法の臨床的有用性-
Project/Area Number |
15591285
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
芦澤 和人 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90274662)
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Keywords | コンピュータ支援診断 / 経時的差分画像法 / 胸部単純写真 |
Research Abstract |
【目的】経時的差分画像法はコンピュータ支援診断(computer-aided diagnosis : CAD)の一つで、撮影時期の異なる2枚の胸部単純写真の差分をとることで、新たに出現した病巣や既存の病巣の経時的変化を強調して描出する方法である。昨年度の読影実験すなわちretrospectiveな研究では、胸部単純写真における日常臨床で遭遇する様々な病態における本システム(Truedia/XR,三菱スペース・ソフトウェア)の有用性が確認された。今年度は実際の日常診療でこのシステムを使用し、その有用性を検討した。 【対象・方法】2003年7月から2005年2月の期間で、胸部単純写真の読影に本システムが利用されたのは2296例である。このうちデータ入力が不十分であった44例を除いたが2252例を対象とした。読影方法は、各放射線科医がまず経時的差分画像なしで読影し,過去画像と現在画像での変化の有無について5段階評価した(1:確実に変化あり,2:おそらく変化あり,3:変化がある可能性あり,4:おそらく変化無し,5:確実に変化無し)。その後,経時的差分画像をみて再度5段階評価を行い、見落としが無いかの確認や所見の変更を必要に応じて行った。 【結果】読影者が評価を無しから有り(4,5→1-3)に変更したもの、すなわち見落とし症例と考えられるものは34例(1.5%)、有りから無し(1-3→4,5)に変更したもの、すなわち偽陽性だったと考えられる症例は12例(0.5%)であった。 【結論】日常診療における単純写真は正常例や経時的変化が少ない症例が多いことを考慮すると、読影者の診断能に影響を与えた症例が2%であったことは、本システムの有用性も示すものである。特に見逃し症例を減少させる上で有用と考えられる。
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