2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591286
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 寛 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00073130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60175213)
松田 尚樹 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (00304973)
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Keywords | 癌転移 / 細胞運動性 / 細胞外マトリックス / ラミニン / インテグリン / 神経膠芽腫細胞 / P53 / 放射線照射 |
Research Abstract |
昨年度までの報告で、癌細胞の転移には細胞外マトリックス成分のラミニンが関与しており、さらに放射線を照射することにより細胞の浸潤能が増強されることを示した。また、ラミニンと結合する細胞表面のインテグリンの働きが細胞の浸潤性に関わっていることが示唆されているため、今年度は細胞に放射線を照射後ラミニンコートディッシュ上で培養した際の細胞表面におけるインテグリンの発現量について、フローサイトメトリーによる解析を行った。 細胞は、A172細胞(p53正常)、A172.248T-6細胞(A172細胞にR248W変異p53を導入し、人工的に変異型p53)を用いた。A172細胞に3Gyの放射線を照射後、ラミニンコードディッシュ上にて培養した時のβ1-インテグリンのコントロールに対する発現量比において、培養後24時間まではあまり変化しなかったが、48時間後に顕著な増加が見られた。一方A172.248T-6細胞では、培養24時間後にβ1-インテグリンの発現量比が一時減少したが、顕著な増加は見られなかった。 また、ラミニンコートディッシュ上での細胞増殖能及び細胞の形態変化について調べたところ、A172細胞、A172.248T-6細胞ともにラミニンコートディッシュ上では、通常培養用の非コートディッシュの場合と比べて増殖が抑制される傾向にあった。またラミニンコートディッシュ上で培養すると、両細胞ともモノレイヤーではなく、いくつかの細胞が球状に集合したようなスフェロイド上の形態を形成した。ラミニンは、細胞の分化や伸展を促進することが知られているが、ラミニンコートディッシュ上でスフェロイドを形成することにより、細胞の増殖能が抑制され、分化や伸展を促進したと考えられる。 今後は、細胞内でインテグリンと結合し、その下流のシグナル伝達に関与するFAKタンパクの発現に着目し、放射線照射とラミニンコートディッシュでの培養におけるFAKの発現量を解析する予定である。
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Research Products
(4 results)