2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591286
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 寛 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00073130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60175213)
松田 尚樹 先導生命科学研究支援センター, 教授 (00304973)
森田 直子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教務職員 (90380972)
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Keywords | 癌転移 / 細胞運動性 / FAK / ラミニン / 細胞外マトリックス / インテグリン / 放射線照射 |
Research Abstract |
昨年度までの報告において、放射線照射により癌細胞の転移が増強されるには、細胞外マトリックス成分の一種であるラミニンと、そのリガンドであるインテグリンが関わっていることが示唆された。また一方で、ラミニンコートディッシュ上で細胞を培養すると、細胞の形態がスフェロイド状に変化し、増殖よりも分化や伸展に作用する可能性を示した。本年度は、細胞内部でインテグリンと結合し、その下流のシグナル伝達に関与するFAK (focal adhesion kinase)タンパクの発現に着目し、そのリン酸化FAKタンパクの発現をウエスタンブロット法により解析した。 用いた細胞は昨年度同様、神経膠芽腫細胞株であるA172細胞(p53正常)、A172.248T-6細胞(A172細胞にR248W変異p53を導入し、人工的にp53を変異型にしたもの)を用いた。 各細胞に3Gyの放射線を照射後、細胞を回収し、FAKタンパク及びリン酸化FAKタンパクの発現量を調べたところ、両細胞とも2時間後からFAKタンパクの発現が見られ、24時間まで発現が見られた。 また一方、リン酸化FAKタンパクの発現は、A172細胞では6時間後から24時間まで蓄積が見られたが、A172.248T-6細胞では発現は見られなかった。すなわち、放射線を照射した際にラミニンに対して細胞運動能が増強するA172細胞において、ラミニンとの細胞内結合タンパクであるFAKがリン酸化により活性化され、転移へのシグナル伝達の一端を担っている可能性が示唆された。 来年度は、さらに詳細なFAKタンパクの発現について解析する予定である。
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