2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射におけるMetallic Stent近傍の線量擾乱と測定法に関する研究
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15591296
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉村 均 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60167012)
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Keywords | 高エネルギーX線照射 / メタリックステント / 線量擾乱 / 線量測定 / TLシート / TLD / 2次元読取りシステム / CCDカメラ |
Research Abstract |
冷却CCDカメラを用いた2次元読取りシステム(加熱系、光学系、冷却CCDカメラ、制御コンピュータより構成)の開発と総合基礎特性の評価ならびに本システムを利用して高エネルギーX線照射による気管、食道用metallic Stent (MS)および整形外科領域の脊椎固定金属の線量擾乱について測定し、臨床的影響について評価を行った。<読取りシステムの開発と基本特性の評価>1.発光量-線量寺性は、ダイナミックレンジの広いTLシートの特性を1.1.方式では十分に活用できなかったのに対して、冷却CCDカメラ方式では、10〜5000cGyまで読み取りが可能で、ノイズの少ない画像データが得られた。2.加熱プロトコールは、90〜290℃/minの加温が最適であった。3.黒体輻射による影響を排除するためには、中心波長375.0nm±5.0nm、半値幅40.0nm±10.0nmのバンドパスフィルタが最適であった。4.解像力チャートを用いたシステムの空間分解能は0.2mmであった。以上、本読み取りシステムの基本特性は、従来の1.1.方式に比べて優れていることが判明した。<線量擾乱の評価>10MVX線6Gy照射による気管、食道用MS(ワイヤ径400μmφ、450μmφステンレス鋼、180μmφナイチノール)と脊椎固定金属(6.2mmφ高純度チタンロッド)の吸収と後方散乱(線量擾乱)について測定を行った。その結果、吸収は400μmφ、450μmφステンレス鋼で7.2%、8.1%、脊椎固定金属で14%の線量減少がみられ、ナイチノールは測定不能であった。一方、後方散乱はそれぞれ8.8%、7.9%、21%の線量増加がみられ、ナイチノールは測定不能であった。以上から、高エネルギーX線照射による気管、食道用MSの線量擾乱は、表面に限局した7〜9%の増減であり、臨床的に問題にならないが、脊椎固定金属では表面で最大21%の増量があり、これらを考慮した線量評価が必要であることが示唆された。
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