2004 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌に対する放射線および化学療法の治療効果予測に関する臨床的・病理組織学的研究
Project/Area Number |
15591300
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
早川 和重 北里大学, 医学部, 教授 (70114189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 英則 北里大学, 医学部, 助手 (40286307)
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Keywords | 放射線治療 / 非小細胞肺癌 / テロメラーゼ / 癌抑制遺伝子 / 癌遺伝子 / 予後因子 / 放射線感受性 / 血管新生 |
Research Abstract |
非小細胞肺癌の生物学的特性を解明する目的で、非小細胞肺癌切除例62例を対象にテロメラーゼ活性およびその触媒サブユニットhTERT mRNA(hTERT)の発現を半定量的に解析し、p53やK-rasならびにEGFR遺伝子異常とともに、その臨床的有用性を検討した。標本の癌部、非癌部組織のテロメラーゼ活性・hTERTの発現を、TRAP法及びRT-PCR法を用い半定量的に解析した。また、癌部および非癌部組織からDNAを抽出しSSCP法、シーケンスによりp53(exon 5-9)、K-ras(exon 1-2)に加えEGFR(exon 19-20)遺伝子変異の有無を検討した。その結果、テロメラーゼ活性・hTERTの発現は非癌部では認められず、癌部ではいずれも76%に発現が認められた。また、テロメラーゼ活性・hTERTの発現は、リンパ節転移の有無と相関し(NO vs N1+2、p<0.05)、テロメラーゼ活性は分化度や病期分類とも相関を示した(p<0.05)。また、無病生存率では、hTERT発現例は非発現例よりも予後不良であった(p=0.0334)。p53とK-rasの変異発現は、非癌部ではみられず、癌部でもそれぞれ22%、4%と変異頻度が低いため各予後因子との関連を検討することはできなかった。テロメラーゼ活性・hTERTの発現は、非小細胞肺癌の病勢を表すN因子・病期との相関が認められたことから、生物学的悪性度を反映する指標(予後因子)の一つとなりうる可能性が示唆された。EGFR遺伝子異常は18%に認められ、異常の有無とGefitinibの抗腫瘍効果との間には相関性が認められた。一方、マウス実験腫瘍Lewis肺癌に対する照射実験では、ある種の血管新生阻害剤を用いると、低線量(10Gy/5回)の放射線照射でも著しい抗腫瘍効果が認められることが確認された。現在、腫瘍ならびに腫瘍母地での血管新生に関わる遺伝子発現状況と放射線感受性との相関について検討中である。
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Research Products
(7 results)