2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来幹細胞から肝細胞への分化・誘導に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15591319
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
稲垣 光裕 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80261410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 勝洋 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50045514)
葛西 眞一 旭川医科大学, 医学部, 教授 (40091566)
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Keywords | 骨髄細胞 / 抹消血細胞 / G-CSF / 無アルブミンラット / 70%肝切除 / PCR / microdissection / in situ hybridazation |
Research Abstract |
肝疾患に対する細胞療法研究において、その細胞供給源として骨髄由来幹細胞が注目されている。アルブミン産生能力を先天的に欠損している無アルブミンラット(F344-alb)を用い、F344-albに同系アルブミン産生ラット(F344)骨髄由来細胞を移植し、アルブミン産生能を指標に宿主肝内での肝細胞へ分化・誘導されるか基礎的検討を加えた。【方法】移植1:F344-albと同系F344より骨髄細胞を採取、全単核細胞分画(BMCs)を分離しF344-alb経門脈的に移植した。移植2:G-CSFを5日間連続投与したF344末梢血から採取した全単核細胞分画(PBCs)をF344-alb門脈内に移植した。それぞれ移植直前に宿主70%肝切除(PH)を施行し、肝再生の影響を検討した。評価法:F344由来BMCs・PBCsから肝細胞への分化・誘導について抗ラットアルブミン抗体を用いた免疫染色の他、1.RT-PCRによる正常アルブミンmRNAの発現、2.microdissection/PCRによる正常アルブミン遺伝子の存在、3.in situ hybridizationによる雌F344-alb肝内でのY染色体遺伝子の存在、4.Western blottingによるF344-alb血清中アルブミン上昇を検索した。【結果】F344から採取分離したBMCs・PBCsをF344-alb門脈内に移植、2および4週後の宿主肝内でアルブミン陽性細胞群(クラスター)の存在を確認した。PHを加えた群において、BMCs・PBCs移植後宿主肝臓内でのクラスター出現頻度が高かった。これらクラスターがF344由来であることを、宿主肝内での1.正常アルブミンmRNAの存在、2.正常アルブミン遺伝子の存在、3.Y染色体遺伝子の存在、および4.宿主血清中アルブミン値の上昇にて確認した。また宿主肝臓内でF344由来血管内皮細胞の存在を確認した。【結語】1.F344-alb宿主肝内にてF344骨髄由来細胞から肝細胞への分化・誘導をアルブミン産生能を指標に確認した。2.出現したアルブミン陽性細胞は、細胞集団(クラスター)を形成し高い増殖能力を示した。3.宿主肝内でのクラスター出現頻度は低く、移植細胞数中10万個に対し5-7個の割合であった。
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