2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入を駆使した自家静脈グラフト内膜肥厚の制御
Project/Area Number |
15591320
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
東 信良 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30250559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹嶋 唯博 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20109515)
稲葉 雅史 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (70151587)
羽賀 將衛 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80271766)
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Keywords | 遺伝子治療 / NFkB / デコイ / HGF / 静脈グラフト / 内膜肥厚 |
Research Abstract |
(1)自家静脈グラフト移植後のNFkB活性化について イヌ伏在静脈グラフトを採取して大腿動脈を置換する自家静脈グラフト移植モデルにおいて、炎症性サイトカインに深く関与する転写因子NFkB活性化の有無を評価する目的で、移植前、移植後2時間、2日、7日の静脈グラフトを採取しGel Shift Assayを行った。 その結果、NFkBが時間経過とともに活性化し、移植後2日でピークを迎え、以後減少することが明らかとなった。 (2)自家静脈グラフトへのNFkBデコイオリゴヌクレオチド導入実験結果 上記(1)で得られた結果を受け、NFkB活性化が静脈グラフト内膜肥厚に関与しているか否かを明らかにする目的で自家静脈グラフトへのNFkBデコイオリゴヌクレオチド導入実験を行った。静脈壁は脆弱で、かつ、長期間の体外操作で抗血栓性などに重要な内皮細胞が失われるという特性があり、そうした静脈壁に遺伝子導入を行うにあたっては、いかに静脈壁をいためずに効率よく遺伝子導入を行うことができるかを明らかにする必要がある。不活化HVJウイルスのEnvelopeを利用したHVJ-E法が最も静脈壁への遺伝子導入に優れていることに基づき、このベクターを用いて、NFkBのデコイオリゴヌクレオチド(ODN)を導入する実験を行った。 実験群を、NFkBデコイを導入した群(NF群)またはコントロール群(SC群)としてスクランブル配列(意味を持たない配列)で構成したオリゴヌクレヲチドを導入した2群に分けて、それぞれのODNを導入した静脈グラフトの移植実験を行い、移植後1ヶ月のグラフト中央部の内膜肥厚を計測した。イヌの個体差を標準化する目的で、顕微鏡上で計測した内膜肥厚面積を血管内腔面積で除した値を比較した。 その結果、NF群はSC群と比較して有意に静脈グラフト内膜肥厚を抑制することが明らかとなった。 以上の結果は、NFkBは内膜肥厚発生に重要な役割を果たしていることが示唆され、かつ、そのデコイが治療に応用できる可能性が示唆された。
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