2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫抑制剤APC0576の臨床応用に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
15591325
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
湯沢 賢治 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10240160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 幹 味の素(株)医薬カンパニー, 医薬研究所, 主席研究員
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Keywords | 免疫抑制剤 / 臓器移植 / APC0576 / NF-κB |
Research Abstract |
APC0576は研究分担者らによって合成された新規化合物で、IL-1で誘導されるNF-κBによるT細胞の活性化抑制を指標にスクリーニングした。最終的にT細胞の増殖抑制が強く、細胞毒性の無いものの内、経口投与が可能で、in vivoでの免疫抑制力が強いものとして選択されたものである。APC0576は、従来の免疫抑制剤と作用機序が全く異なっていること、強力な免疫抑制力を持つことが示唆された。 APC0576の作用機序は、NF-κBを介した伝達系をブロックすることにあるが、既存のNF-κB阻害剤とは異なる機序であることが明らかになった。また、カルシニューリン阻害剤とも全く異なることも明らかになった。しかし、APC0576はラット、マウスでは、ヒト、サルの数倍の濃度が必要であり、ラット、マウスでの基礎研究が不適当であるという問題があった。しかし、臓器移植における免疫抑制剤としての有効性の確認のためには、臓器移植実験が必要と考え、サルでの限られた数ではあるが腎移植実験において優れた移植腎生着延長効果が示され、大きな副作用がないことが確認された。また、それまでラットでは大量投与が必要であったものが腹腔内投与により大幅に減量でき、ラット心移植の実験で、移植心の生着延長効果が認められ、他の免疫抑制剤(カルシニューリン阻害剤)との併用効果があることが明らかになった。 APC0576の最も基礎的な免疫抑制剤としての特質は捕まえられ、従来の免疫抑制剤とは作用機序が全く異なることが明らかにされ、移植実験においても優れた生着延長効果が示された。将来、臓器移植の臨床において、カルシニューリン阻害剤と同等かそれ以上の免疫抑制力を持つ免疫抑制剤として、大いに期待される。
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