2004 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍内サイトカイン連鎖増殖機構の受容体親和性制御による新しい抗腫瘍療法の確立
Project/Area Number |
15591339
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
三木 誓雄 三重大学, 医学部, 助教授 (50242962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 正人 三重大学, 医学部, 教授 (50192026)
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Keywords | 大腸癌 / IL-1β / IL-6 / IL-1ra / VEGF / transfection |
Research Abstract |
大腸癌に対する新しい抗腫瘍療法を確立するため、大腸癌組織における腫瘍内IL-1-IL-6連鎖産生機構の制御メカニズムをin vivo、in vitroの両面で評価し、さらにその結果に基づき大腸癌細胞に遺伝子を導入し、大腸癌細胞増殖抑制能を検討した。大腸癌患者75例を対象とし、術前より癌局所におけるIL-1-IL-6連鎖産生機構が亢進していると考えられる術前血中CRP高値群、さらに術中に全身のIL-1-IL-6連鎖産生機構の亢進により癌局所のIL-1-IL-6連鎖産生機構にも影響が与えられると考えられる長時間手術群で分類し、癌局所におけるIL-1 receptor antagonistとIL-6の発現をみたところ、術前のacute phase reactantの存在とintense surgical stressが相乗的に癌局所のIL-6発現を亢進させ、一方IL-1raの発現を抑制していることが判明した。これらの結果をin vitro外科侵襲モデルで検証したところ、LPSとIL-1βで刺激した癌細胞のIL-6産生はIL-1raのpretreatmentで強く抑制されることが判明した。また大腸癌と類似する性格を要する分化型胃癌細胞株においてもIL-1raのpretreatmentによりIL-6の産生は強く抑制された。さらに大腸癌細胞のvascular endothelial growth factor産生能の面から検討したところ、Caco-2 cellにIL-1βを付加するとtime-dose dependentにVEGFの産生がprotein levelで19倍に、mRNA levelで2倍増加し、これらはIL-1raのpretreatmentで87%抑制された。一方、臨床検体を用いた検討では、組織IL-1ra/IL-1β比は正常粘膜より癌組織が有意に低値を示し、癌組織中IL-1ra量は進行度が高度なものほど低値を示していた。以上より大腸癌におけるIL-1raの発現低下が癌細胞の増殖を促進するという結論に達し、癌細胞へのIL-1ra遺伝子導入に着手した。大腸組織よりmRNAを抽出後、cDNAに合成し、RT-PCR法にてintra-cellular IL-1ra(icIL-1ra)のcDNAを増幅。PCR産物を精製し、Plasmid Vectorに導入。大腸菌を用いて、subcloningを行った後、蛍光sequencerにて、遺伝子配列の完全一致したものを選択。制限酵素を用いて、目的遺伝子を切り離し、neomycin耐性GFP発現ベクターに目的遺伝子を導入。再度大腸菌に形質転換させ、cloningを行った。RT-PCR法にてIL-1ra低発現であった、大腸癌細胞株SW480、Caco2、DLD-1にIL-1ra遺伝子導入(transfection)を行いneomycin含有培地を用いて、遺伝子導入大腸癌細胞のみを分離。SW480、DLD-1にて、遺伝子導入大腸癌細胞の分離が可能であったが、RT-PCR法、Weaternblotting法によるIL-1ra発現に差は認められず、大腸癌細胞では遺伝子導入以前より、IL-1ra高発現状態であることが予想された。現在、RNAiを用いた、IL-1ra低発現大腸癌細胞株およびIL-1β遺伝子導入大腸癌細胞株を作成し制御メカニズムについて検討中である。
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Research Products
(3 results)