2005 Fiscal Year Annual Research Report
腺房中心細胞と腺房細胞の膵内分泌細胞への分化初期過程の解析-膵幹細胞移植に向けて
Project/Area Number |
15591358
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林 京子 北里大学, 医学部, 助手 (30240211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山科 正平 北里大学, 医学部, 教授 (90013987)
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Keywords | 膵内分泌細胞 / 膵幹細胞 / PGP9.5 / 膵移植 / 膵再生 / 分化 |
Research Abstract |
我々は膵移植治療に向けて、β細胞への分化過程を明らかにし、膵内分泌細胞の幹細胞を特定することを目的としてきた。そのためラット膵90%切除術、膵管結紮による膵再生、ラット膵臓の発生を観察してきた。 今年度明らかになったことは膵切除術後24時間内の各のブロックの切片を作成したところ、抗インスリン抗体と抗アミラーゼ抗体とで2重染色される細胞は極めて稀であることが判明した。よって腺房細胞が優位にβ細胞、あるいはラ氏島に分化増殖している可能性は極めて稀であると考えられた。術後超早期に出現する導管系細胞(腺房中心細胞、介在部、小葉間導管)は[PGP(+)・内分泌ホルモン(-)]、術後2-3日に出現する[PGP(+)・内分泌ホルモン(+)]という細胞が見られる。[PGP(+)・内分泌ホルモン(-)]は膵内分泌細胞の前駆細胞である可能性が示唆され、内分泌ホルモン(-)から内分泌ホルモン(+)になる移行期の細胞を光顕及び電顕法で免疫組織化学法にて観察を行ってきたが、観察は困難であった。当初の計画であったこの方法による膵幹細胞の検出は困難であることが判明しため、我々は90%切除後、術後2日めの導管系細胞が最も増殖能力が高いことに着目し、残存膵の導管系細胞をコラゲナーゼ処理し、これを腎被膜下に移植した。移植後高血糖の是正が予想され、移植後、経時的に腎臓を摘出し、これを光顕的に観察した。しかし、高血糖の是正がみられないこと、移植腎に上皮細胞の小集塊を認めるが、ランゲルハンス島あるいはβ細胞は見られなかった。そのため、腹側からの移植方法では動物へ侵襲が大きいため、その軽減をはかるために、後腹膜からの注入を試行した。しかし、必ずしも適切な方法とはいえなかった。 導管系細胞の移植は内外でも定着している報告が多数あるが、そのメカニズムと定着させる環境因子はいまだ明らかになっておらず、引き続き検討が必要である。
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