2004 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン遺伝子導入線維芽細胞と抗血小板療法を併用した消化器固形癌治療法の開発
Project/Area Number |
15591359
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
相浦 浩一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00184010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 康博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40338059)
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Keywords | IL-2 / IL-12 / 消化器癌 / 遺伝子導入 / 免疫療法 / 膵癌 / 肝転移 |
Research Abstract |
IL-2やIL-12などのサイトカインは抗腫瘍免疫を賦活化させることが知られているが、消化器固形癌のような低抗原性腫瘍に対しての効果は限られており、免疫療法単独ではなく化学療法などとの併用がより好ましい。消化器癌の中でも特に予後不良な膵癌においては肝転移が高率に生じ、それに対する有効な治療法はいまだ確立されていない。細胞性免疫活性を増強するサイトカインとして、IL-2、IL-12が注目されてきているが、有効な投与方法については充分解決されたとはいえない。我々は、IL-2の門脈内投与モデルとして、遺伝子導入線維芽細胞作製を行い、肝局所免疫を強力に選択的賦活化することの効果を検討した。マウスIL-2発現レトロウィルスベクター(pMFGmIL-2)の入った大腸菌(HB101)からプラスミドを抽出し、制限酵素であるXbalとBamHIにて処理し、IL-2cDNAを取り出し、電気泳動により目的のプラスミドであることを確認した。パッケージングプラスミド(ViraPort System : pVPack-GPおよびpVPack-env)とともにリポフェクタミン法でHEK293細胞へ一過性に導入し、48-72時間後の培養上清を用いてマウス線維芽細胞に感染させ、肝転移抑制効果を示すかどうか検討する。さらに、膵癌治療のfirst lineとして使用されるGemcitabineと肝局所の免疫機能を選択的に活性化させることを目的としたIL-2の門脈内直接投与との併用効果について検討した。マウスC57BL/6由来の膵癌adenocarcinoma(PAN02)を用い、C57BL/6Jの門脈内に直接注入し、膵癌肝転移モデルを作製し、これに対して、Gemcitabineを腹腔内投与、IL-2/IL12を門脈内注入モデルとして脾臓内投与(局所投与)する。ここで、Control群、Gemcitabine単独群、IL-2単独群、Gemcitabine+IL-2群に分け検討した。PAN02を投与したC57BL/6Jマウスは、28日後にsacrificeし、それぞれの群の肝転移数、肝重量を測定し、肝転移抑制効果につき検討した。その結果肝転移数は、Control群32個、Gemcitabine単独群24.7個、IL-2単独群2.7個、Gemcitabine+IL-2群1.4個(P<.005)、さらに肝重量においてもControl群1.77g、Gemcitabine単独群1.4g、IL-2単独群1.28g、Gemcitabine+IL-2群1.29gと肝転移モデルにおいてGemcitabine+IL-2の併用療法の有効性を認めた。さらに、Gemcitabine併用群において、IL-2脾内投与群とIL-2腹腔内投与群とを比較すると、有意に脾内投与群で肝転移が抑制されていた(p<0.05)。肝転移巣の病理所見では、Gemcitabine単独群に比較しGemcitabine+IL-2群で有意にリンパ球浸潤が強く認められた。以上より、膵癌肝転移の治療戦略において、Gemcitabineの肝転移抑制効果はIL-2を併用することにより増強される可能性が示された。
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