2003 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸の惹起する細胞内シグナル伝達の基礎研究と腸管不全治療への研究アプローチ
Project/Area Number |
15591369
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
飯干 泰彦 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10340994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤井 利夫 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90351808)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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Keywords | アミノ酸 / 細胞内シグナル / 腸管不全 |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛋白合成に関与して、これまで蛋白合成の基質,腸管のエネルギー源,核酸の前駆体等栄養学的に注目されてきたアミノ酸の薬理学的な役割、すなわち細胞内シグナル伝達に及ぼす影響を明らかにすることである。これにより、肝障害や多臓器不全の要因として注目され、腸管不全治療のための静脈栄養下やショック、外傷下における腸管粘膜防御機能の破綻をより効果的に治療する方法を開発することが可能になると考えている。今回、ラット小腸上皮細胞であるIEC6 cellを培養し、全アミノ酸を除去後各アミノ酸を添加した場合、また、全アミノ酸から各アミノ酸を除去した場合に、蛋白合成に関与する細胞内シグナル伝達系の一部であるp70 S6 kinase活性の変化を検討した。IEC6 cellでは、p70 S6 kinase活性を最も惹起するアミノ酸は、栄養学的に効果が認められているグルタミンではなく、アスパラギン等のアミノ酸であった。グルタミンの効果はむしろ低かった。また、アスパラギン除去によりp70 S6 kinaseの活性が低下したが、グルタミン除去による活性の低下はなかった。今回用いたIEC6 cellにおいては、現在栄養学的観点から注目されている侵襲時の腸管に対するグルタミン等のアミノ酸療法は,少なくとも30分から6時間までの初期蛋白合成においては、薬理学的観点からはアスパラギン等のアミノ酸を増量する等の修正を必要とする可能性が考えられる。この点を踏まえ、今後ラットに高カロリー輸液を施行し、腸粘膜障害を改善させる積極的な治療法としてのアミノ酸投与法を開発する。
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