2004 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子制御による肝阻血再灌流障害後の肝再生促進に関する研究
Project/Area Number |
15591381
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 厚 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (70344984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
吉留 博之 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10312935)
黒澤 永 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (10375678)
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Keywords | 阻血 / 再灌流 / 肝再生 / 転写因子 / 障害肝 / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
1.肝阻血再灌流障害後の肝再生について マウス部分肝阻血モデルを用いた肝阻血再灌流後の肝再生の実験では、real time PCR法を用いたmRNA定量により肝再生抑制因子として知られているactivinが再灌流直後より有意に上昇しており、また血清レべルでもactivinの上昇を認めた。このことは、阻血再灌流直後には肝再生に対して抑制的な機序が働いていることを示唆している。一方、activinの生体内インヒビターとして知られているfollistatineはactivinより遅れて発現の上昇を認めており、肝再生促進作用としてactivinとfollistatinの生体内バランスが重要であることが示唆された。また、抑制性サイトカインであるinterleukin-13(IL-13)は肝阻血再灌流障害後の内皮細胞障害抑制作用に関与していることが示され、内皮細胞は肝再生に関与するTGF-βの産生に関係しており、IL-13が障害後の肝再生に関与している可能性があると考えられた。 2.障害肝における肝阻血再灌流障害の検討 胆管結紮切離により作成した閉塞性黄疸モデルにおいて肝阻血再灌流障害が組織学的好中球集積や血清ALTからみた肝細胞障害が有意に増強することが判明した。特に胆管結紮7日目のモデルでは、肝阻血時間の多寡がその後の肝障害及び生存率に有意に影響していた。閉塞性黄疸肝モデルでは、NFκBなどの転写因子の活性化を認められており、その後の阻血時間の多寡によりさらなる活性化の増強を認めた。今後減黄モデルによる肝阻血再灌流障害の軽減効果について、in vivoに検討する予定である。 3.肝阻血再灌流障害の臨床的検討 手術中の肝阻血時間の多寡は、手術後のInterleukin-6、Interleukin-10およびmacrophage chemoattractant protein (MCP)-1とともに、手術後のSurgical Site Infection (SSI)および肝不全発症のrisk factorであることが判明した。このことより、阻血再灌流による手術侵襲が術後の感染や臓器不全に関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)