2003 Fiscal Year Annual Research Report
臓器マクロファージの多相性と臓器相関の解析による生体防御機構の解明とその臨床応用
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15591394
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
河野 寛 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (40322127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 秀武 山梨大学, 医学部附属病院, 医員
松田 政徳 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (80242642)
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Keywords | Kupffer細胞 / 急性肺障害 / 腹膜炎 / エンドトキシン / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
目的;腹腔内感染に起因するARDS発症機序におけるKupffer細胞(KC)の役割を、異なった感染病態を反映する2つのモデル(M)で検討した。方法;雄性S.D.種ラットを用い、KC抑制物質塩化ガドリニウム(GD)を前投与後、致死量エンドトキシン投与(M1)と盲腸結紮穿刺(M2)モデルを作成した。致死率、臓器障害を肝・肺で検討。両臓器でのメディエーター発現を検討した。結果;M1の死亡率はコントロール群(C、生理食塩水投与)で100%(24時間後)、GD群でO%。M2ではC群で60%(CLP後7日)、GD群は12時間以内に全て死亡。肝障害はM1のC群で広範に認め、GD群で完全に改善された。M2は両群で認めない。両モデルの死因はヒトARDSに類似した肺障害であり、M1はGD群でC群と比較し有意に改善され、M2はGD群で障害が増強した。TNF-α発現はM1で肝・肺ともにLPS投与後急激な増加後、IL-6が上昇、GDにより有意に抑制された。M2ではこれら発現をほとんど認めない。IL-10(KCが主に産生)の発現は、M1のC群でLPS投与後に両臓器で急激に増加さた。GD群での発現は、肝でC群と比較して低値で、肺では有意に上昇。M2では両臓器でともにC群でCLP後早期に増加を認め、GD群では発現を認めなかった。MCP-1の肺での発現はM1ではGD群で、M2ではC群で増加した。MIP-2発現はM1のC群の肺で増強し、GD群で有意に低下した。結論:M1はKCのoverfunctionによるTh1過多が、肺でMIP-2を過剰発現し炎症細胞の肺浸潤が致死原因で、GDはこれを改善した。一方、M2はKC消去によるIL-10、MCP-1発現の抑制が致死原因で、KC由来因子が宿主の生存に強く関与が解明された。KCは感染免疫において中心的な役割を果たし、病態に応じたKCの抑制あるいは活性化が新しいARDS治療のストラテジーになりうると考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kono H et al.: "Medium-chain triglycerides modulate inflammatory immune response in the gut in rats administered endotoxin"American Journal of Physiology. (In press). (2004)
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[Publications] Kono H et al.: "Edaravone, a Novel Free Radical Scavenger, Prevents Liver Injury and Mortality in Rats Administered Endotoxin"Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 307. 74-82 (2003)