2003 Fiscal Year Annual Research Report
重症急性膵炎における腸管粘膜上皮のアポトーシスの意義とその対策
Project/Area Number |
15591405
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 隆 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (80346262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
竹山 宜典 近畿大学, 医学部, 助教授 (70263374)
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Keywords | 重症急性膵炎 / アポトーシス / 腸管上皮 / bacterial translocation |
Research Abstract |
1.腸管透過性亢進機構とBacterial translocation成立状況の解析 ラット重症急性膵炎モデルにおいて腸管粘膜上皮の透過性亢進を蛍光色素透過性や、腸管壁の電気伝導度の変化から解析すると、膵炎作成6時間後に回腸粘膜上皮の透過性亢進が確認された。さらに同モデルにおいて、膵炎作成18時間後に血中エンドトキシン濃度の有意な上昇および、腸間膜リンパ節の細菌培養陽性を認めた。 2.腸管粘膜上皮のアポトーシス変化の解析 上記と同じラット重症急性膵炎モデルにおいて腸管粘膜上皮のアポトーシス変化をTUNEL法およびDNA fragmentation ELISA法にて検討したところ、膵炎作成12時間後に腸管粘膜上皮のアポトーシスの有意な加速を検出した。さらに同モデルにおいて、腸管粘膜の構造、粘膜高の変化を形態学的に解析すると、膵炎作成18時間後に粘膜絨毛の荒廃、萎縮と絨毛高の有意な低下を認めた。 3.Perfluorochemical(PFC)の効果の解析 強力な酸素運搬体で腸管のintegrityや機能保持に有用性が示されているPerfluorochemical(PFC)の効果について検討した。上記と同じラット重症急性膵炎モデルを用いて、酸素化PFCの腹腔内投与による腸管の酸素化を行ったところ、上記結果で示した腸管粘膜上皮の透過性亢進、腸管粘膜上皮のアポトーシス誘導の加速、腸管粘膜構造の破綻と絨毛高の有意な低下、BT(血中エンドトキシン濃度および、腸間膜リンパ節の細菌培養)、に対していずれも改善効果を認めた。 以上より重症急性膵炎においては、酸素化障害および他の原因によって腸管粘膜上皮のアポトーシスが進み、腸管壁の透過性が亢進することによってbacterial translocationもしくはendotoxin translocationが惹起される可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takeo Yasuda: "Nonocclusive visceral ischemia associated with severe acute pancreatitis"Pancreas. 26・1. 95-97 (2003)
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[Publications] Makoto shinzeki: "Intraperitoneal administration of oxygenated perfluorochemical inhibits bacterial translocation associated with severe acute pancreatitis"Kobe J.Med.Sci. 49・1. 17-24 (2003)
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[Publications] 安田 武生: "重症急性膵炎とbacterial translocation"日本腹部救急医学会雑誌. 23・3. 485-489 (2003)