2003 Fiscal Year Annual Research Report
人工血液を用いた常温肝潅流装置における一酸化窒素制御による肝障害抑制効果の検討
Project/Area Number |
15591420
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
桂巻 正 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50253993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康利 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80311893)
向谷 充宏 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00253998)
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
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Keywords | 人工血液 / 肝灌流 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
われわれは酸素運搬物質として人工血液を使用した肝灌流液を作成し、肝臓を体外で機能を維持しながら常温で灌流させる装置の開発に成功した。今回、灌流肝のvaibilityを維持させるために、細胞障害性に作用する誘導型NO合成酵素(iNOS)に注目し、iNOS阻害剤投与による灌流肝のvaibilityを低下抑制について検討した。 方法 20kgの雌豚の肝臓を冷却したラクテック液で灌流することで摘出した。摘出肝の門脈に流入用チューブを、下大静脈に流出用チューブを挿入し、灌流回路に設置した。灌流液を人工肺で酸素化しながら約300ml/minの流速で灌流した。灌流液の酸素運搬物質はテルモ社より供給された人工血液(Neo Red Cell)を使用した。灌流液はNRCに肝細胞用培養液Ll5、アルブミン、ブドウ糖、インスリン、デキサメサゾなどを加えて作成した。ONO1714をiNOS阻害剤として使用し、0.3μg/mlの濃度で灌流液に投与した。 結果 灌流液のASTは灌流6時間目で、対照群で6000IU/L、iNOS投与群で2000IU/Lで、iNOS投与群で有意に低値であった。iNOS投与群で組織学的に肝壊死が抑制されていた。免疫組織学検討で灌流肝にiNOSの発現を認めた。iNOS投与群の灌流液中のNOxは対照群より低値であった。しかしながら、iNOS投与群の酸素消費量は対照群より低く、乳酸値は高値であった。 考察 人工血液を用いた常温肝灌流においてiNOSは発現し、灌流中の組織障害発生にiNOSが関与していることが判明した。しかし、iNOS阻害剤投与によって酸素消費量低下と乳酸値上昇を認めた。これらの現象はiNOS阻害剤投与によってcNOSも阻害され、微少循環不全、酸素供給阻害が起きたためと考えられた。今後はiNOS阻害剤の投与量などをさらに検討する必要がある。
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